ロシア反体制派 すれ違う「プーチン後」の未来図 “分離独立”か“一つの国家”か
■「ロシアの分割は望まない」北方領土問題は「妥協が不可避」
インタビューでは、「1つのロシア国家」を望む立場を明確にしつつ、各民族・地域の独立には住民たちによる明確な意思表示(住民投票)が必要だとの認識を示した。 「ロシア自由軍団」政治部門幹部 イリヤ・ポノマリョフ氏 「ロシアが分裂することは望まないというのが私の姿勢です。また、分裂しないと信じています。しかし、ロシアが1つの国家であり続けられる唯一の方法は、この国に暮らす全ての民族、全ての人々に彼ら自身が何者なのかを認識させる機会を与えることです」 「私は全ての解放運動を全面的に支持しますが、条件があります。それは、分離するかとどまるかを決めるのは最終的には一部の政治家ではなく、人々による意識的な選択でなければならないということです」 また、今回の来日では日本の国会議員らと将来の日露関係を見据えた関係作りを進めたいとしていたポノマリョフ氏。いまだ締結されていない日露の平和条約と北方領土問題について質問すると、具体的な内容は避けつつも「妥協は不可避」だと明言した。 「ロシア自由軍団」政治部門幹部 イリヤ・ポノマリョフ氏 「平和条約が結ばれていないことは恥ずべきことだと思います。そしてそれらの島の状況も恥ずべきものです。ロシアは自ら活用しておらず、またその領土をよりよく扱うであろうもの(日本)へ手渡す意思もありません」 「我々は北方領土問題を解決するための仕組みについて議論し、決断する必要があります。」 「私が過去に話した多くの日本の方は北方領土とは何か、何が含まれ、何が含まれないのかについて違った理解をしていました。私は妥協は不可避だと思います。しかしこの妥協には間違いなく(複数の)島の日本への返還が含まれます。この妥協の具体的な中身については(日露の)政治家達が議論し、それぞれの社会に提示する必要があります。」 ポノマリョフ氏はこのとき、極東地域が分離独立される可能性について言及しなかった。少なくとも、北方領土問題について日本の交渉相手になるのが「ロシア」であると認識していることが伺える。
■「ロシアの民主化」に異論
会合の終盤、ロシアの「脱植民地化」への取り組みや北方領土問題解決を求めた「東京宣言」を採択する場面では、分離独立派の参加者から異論が出た。当初案にあった「ロシアが民主主義国家となり…」との表現に対して、「ロシア連邦がそのまま残るという意味にとれ、少数民族の独立を目指す立場と矛盾する」との主張だ。最終的に「『ロシア後』の領域(Post-Russian territory)」と表現することで落ち着いたが、会合の参加者が一枚岩ではないことを象徴的に示すシーンだった。