ロシア反体制派 すれ違う「プーチン後」の未来図 “分離独立”か“一つの国家”か
■「ロシアは変わらない。再び隣国を侵略する」
シベリア独立合衆国委員会副議長 スタニスラフ・スースロフ氏(※「シベリア」は主にロシア中部から東部にかけての北アジア地域を指すが、スタニスラフ氏の「シベリア独立合衆国」は現在のシベリア連邦管区全域とウラル連邦管区の大部分から構成されるとしている) 「現在『美しい未来のロシア(=民主化したロシア)』をつくるという発想は、残念ながら世界の政治家の間でとても人気があります。しかし、このアイデアはソ連崩壊後、現代のロシアが作られた時のアイデアにとても似ている点に注目してほしいです」 「10年後、15年後、国のトップに『新たなプーチン』が現れない保証はないことにも注意してください」 「(民主化を装った)『美しい未来のロシア』は時間稼ぎをし、再び隣国を侵略するための用意をするでしょう」 分離独立を求める参加者たちは「少数民族や地方は長年にわたり抑圧され、差別的な扱いを受けている」と口をそろえた。プーチン政権が崩壊しても、民族としての「ロシア人」が中心である限り「ロシアは変わらない」として、ロシアとロシア人への強い不信感をにじませた。
■同床異夢の「プーチン後」
会合主催者が作成し、会場にも飾られた「新たなロシアの地図」はロシアが41の独立国に分裂しているというものだ。公式ホームページのトップには上述の地図の下に「ひとつの狂った帝国に代わる、41の独立し、自由で発展・成功した国家が我々の主要なゴールだ」とはっきりと書かれている。 これらから、会合が目指す「新たなロシア像」は「分裂」を強く指向しているようにみえるが、必ずしも参加者全員と共有されているとは言えない。 分離独立派との違いをみせたのは、ロシアへの越境攻撃を行う武装組織「ロシア自由軍団」の政治部門幹部で、元ロシア下院議員のイリヤ・ポノマリョフ氏だ。
「ロシア自由軍団」政治部門幹部 イリヤ・ポノマリョフ氏 「今ロシア連邦がある領土の1年後の状況を私は知りません。1つの国になるかたくさんの国になるかは、すべてあの領土に住んでいる民族が決めるでしょう」 独立を求める多くの参加者の意見に配慮しつつも、「ひとつの国家」にも言及した。ポノマリョフ氏は下院議員としてロシア政治の中枢にいた経験があり、国内外の反体制派と協力して「影のロシア議会(人民代議員大会)」を組織してプーチン政権崩壊後の新たな国家作りの中心となることを目指している。なにより、ロシア領内へ越境攻撃を行う武装組織の幹部も務め、実際にプーチン体制に揺さぶりをかけている重要人物だ。ポノマリョフ氏の意見は会合では少数派だが、その言葉はロシアの今後を考える上で無視できない重みがある。 この前日、ポノマリョフ氏は同じく会合に参加した「チェチェン・イチケリア共和国」亡命政府幹部のイナル・シェリプ氏とともに、NNNの単独インタビューに応じていた。