浮気現場を描いたバンクシーの壁画付き物件が1億3000万円で売却へ。2月にオークション開催予定
ブリストル出身のバンクシーは、活動初期の2006年に性感染症クリニックが入っていた地元の建物にグラフィティを描いた。《Well-Hung Lover(巨根の恋人)》と題されたこの作品は、恋人か妻の浮気の現場を押さえた男性と、全裸の浮気相手が、彼に見つかるまいと必死に窓からぶら下がるコミカルな様子が描かれている。 【写真】作品のキャンバスとなったジョージアン様式の建物 この作品が描かれた物件が、2025年2月にブリストルのオークション会社、ホリス・モーガンから出品されることが発表された。物件はブリストルの繁華街パーク・ストリートにあり、18世紀から19世紀にかけて流行したジョージアン様式の5階建てで、敷地面積は433平方メートル。地下ではナイトクラブが営業している。ブリストル大学に近いことから、以前の家主は寝室が14ある学生寮を計画したが、自治体から密度が高いという理由で申請が却下されている。 現在ブリストル市議会が所有しているこの物件は、イギリスの歴史的建造物リストに含まれていることを意味する「グレードII指定」となっているため、購入者は完全に所有することは出来ない。そのため250年間のリース契約となる。バンクシーの作品については、同議会は「誰の作品であろうとストリートアートに関する公式な方針はない」としながらも、購入者に対して建物から作品を取り外すことを禁じる制限条項を設ける予定だ。ただ、購入者は作品の維持管理や保険をかける必要はない。 このことについて、オークション会社代表のホリス・モーガンは、ガーディアン紙の取材に対して次のように語った。 「ストリートアートは恒久的な芸術作品としてではなく、抗議の手段として創作されるものであり、通常は、建物の所有者の同意を得ずに違法に創作されるものです。そのため、芸術作品としての寿命は、作品が風化するか、あるいはその後何者かによって上から描かれたり、取り除かれたりすることによって長くなったり、短くなったりするでしょう」 オークションはライブ・オンラインの両方で2025年2月12日に行われる。落札の目安となる価格は70万ポンド(1億3000万円)だ。作品を取り外せないとはいえ、2021年にバンクシーのオークション最高額を更新した《愛はゴミ箱の中に》の1858万2000ポンド(当時の為替で約29億円)を考えるとお買い得とも言える。 ホリス・モーガンは、先日11月20月にもテディベアが警察官たちに火炎瓶を投げつけるバンクシーの作品《Mild Mild West》(1999)付き物件をオークションに出品しており、こちらは83万5000ポンド(約1億6000万円)で落札された。