「足元にも及ばない」坂本勇人ついに伝説の右打者に並ぶ2371安打…同じ背番6で36歳の年に40発&打点王
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人3―4ロッテ(5日・東京ドーム) 巨人・坂本勇人内野手(35)が、3冠王3度のレジェンド・落合博満に並んだ。ロッテ戦の9回先頭で右前安打を放ち、歴代12位となる通算2371安打とした。前日23安打18得点の“ブリブリ打線”はロッテ・種市に8回まで無得点と沈黙。坂本の安打をきっかけに1点差まで詰め寄ったが及ばず、交流戦首位から陥落した。2リーグ制後、球団1万試合目となる6日は、4カード連続の勝ち越しもかけ、井上温大投手(23)が先発する。 【データで見る】坂本勇人と落合博満の比較表 鮮やかに逆方向へ打ち返し、坂本がレジェンドへの歩みを進めた。4点を追う9回先頭。1ボール1ストライクからの3球目、横山の真ん中低め151キロ直球をコンパクトに振り抜き、右前へ運んだ。球団OBでもある落合博満に並ぶ通算2371安打は、3冠王3度の天才打者と重なるような、芸術的な流し打ちで決めた。「足元にも及ばない。ヒットの質も僕がショボいので。通算は並んだかもしれないけど、レベルが違います」と、謙虚に振り返った。 また偉大な記録に追いついた。巨人時代には自身と同じ背番号6を背負ったこともある大先輩と肩を並べての、NPB歴代12位。通算2152試合目での到達は、先輩よりも早いペースでもある。独特の神主打法から広角に長打を打ち分けた落合氏は、今年の坂本と同じ36歳シーズン(1989年)に40発を打ち、116打点で打点王を獲得。「今まで打ってきても何もグラウンドでは助けてくれないので、そういう気持ちで今もやっていますし、頑張っていきたい」。積み上げた数字よりも“現在”を大事にする男らしく決意も示した。 記録を打ち立てるとともに、周囲の不安を打ち消している。腰の張りの影響もあり1日から2試合連続でスタメンから外れ、出場なし。2日の西武戦(ベルーナD)の試合前練習はグラウンドでトレーナーとストレッチなどで調整していた。それでも、「(腰は)大丈夫です」と4日のロッテ戦(東京D)で3試合ぶりに復帰すると、2安打2打点。日々の練習から状態を見極めながらロングティーなどを取り入れるなど工夫を凝らす。最高の状態ではなくても技術と経験でカバーする。 昨季から主将は譲っているが、後輩の一挙手一投足に目を配り続けている。4番を務める岡本和が悩んだ時に真っ先に相談するのも背番号6だ。「こういう状態の時、どういう練習してますかとか、どういう球の待ち方をしていますかとか。技術的な話とかいろいろ(坂本)勇人さんに聞くようにはしています」と、リーグトップタイの打点を挙げる主砲は明かす。2月の春季キャンプでは2軍で練習していた育成外野手の舟越を食事に誘うなど、1軍だけでなくファームも気にかけている。セ・リーグ首位のチームを根っこから支えているのは、誰よりも勝負に熱い坂本に他ならない。 大黒柱の一振りから目を覚ましたブリブリ打線は猛反撃したが、あと一歩及ばず連勝は止まった。それでも、巨人には頼れる男がいる。「もっと打てるように頑張ります」。坂本の挑戦は終わらない。(宮内 孝太)
報知新聞社