にぼしいわしの「THE W」制覇は歴史を変える快挙!漫才2本、フリーでの優勝はともに史上初
“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は今年の女芸人ナンバーワン決定戦「THE W 2024」で見事に優勝したにぼしいわしについて、新道がこの1年間見てきた、“ライブざんまい”のハードスケジュールを紹介する。 過去最高の903組が参加した「THE W 2024」で頂点に輝いたのは、この漫才コンビでした。 【プロフィル】 コンビ名‥にぼしいわし 結成‥2013年4月1日 所属‥フリー 同期‥ゆりやんレトリィバァ、熊元プロレス(紅しょうが)、ガンバレルーヤ 立ち位置左‥香空(きょうから)にぼし 生年月日‥1992年6月13日 出身‥大阪府 立ち位置右‥伽説(ときどき)いわし 生年月日‥1992年7月2日 出身‥大阪府 NSC大阪35期生で知り合ったお2人。昨年末に大阪から上京し、ライブシーンでの活躍がものすごく目立っていただけに、まさに“努力は報われる”を体現したコンビだと思います。東京でライブが毎日立て続けにあり、大阪でもライブがまだ残っていたので何度も帰っておられました。今も大阪でライブのオファーがあり、結局まだ大阪まで遠征してライブに出演し続けてもいます。 私も何度もライブに誘いましたが、「その日は…ライブが入っていて丸かぶりなので出演できません」と断られました。ライブ以外やってないんじゃないかと思うくらいのハードスケジュールです。 賞レースで勝ち抜く芸人の共通点として、“数多いライブとネタの量産が苦にならない”というのがあります。にぼしいわしさんはまさにそのタイプ。お笑いライブという名の海を気持ちよさそうに泳いでいるように見えます。 毎年「THE W」の予選を全部拝見している私が思うのは2回戦でのウケ方が毎年、尋常じゃない。場所が大阪だろうが東京だろうが、見終わった後「準決勝は確定」と思わせる。「THE W」の準決勝は2日間に分け2本のネタを披露するのですが、2本とも爆笑を起こしたのは今年、私が見たところ6組くらいしかいませんでしたが、その中の1組でした。さらにすごいのは「THE W」は今年で8回目になるが、決勝進出は4回。半分は決勝に進んでいるんです。 にぼしいわしさんの優勝は、これまでの「THE W」の常識を覆したものでもありました。まず優勝するコンビは決勝で2本ネタを披露しますが、2本とも漫才で優勝したのは史上初です。特に昨年までの4年間に優勝した吉住、オダウエダ、天才ピアニスト、紅しょうがは2本ともコントで優勝。予選でも漫才を披露する芸人が減っている中、漫才2本での優勝は大きい。 また事務所に所属せず、フリーで優勝したのも初めて。他の賞レースを含めても、2002年の「R―1ぐらんぷり」で優勝しただいたひかるさん以来だと思います。だいたさんは優勝直後に吉本興業に所属しましたが、にぼしいわしさんは今後も自分たちだけでやっていくと明言しています。 にぼしいわしさんはこれまで決勝の常連ではありましたが、毎回初戦敗退でした。過去の成績はこんな感じです。 19年、そのこ6票、にぼしいわし1票。 20年、TEAM BANANA7票、にぼしいわし0票。 22年、紅しょうが7票、にぼしいわし0票。 こう見ると、決勝では負け癖がついているかのようにも感じますが、それをはね返して優勝したのがカッコよすぎる。多くの芸人に希望を与えたと思います。 今年の「THE W」ではもう一つ、キンタロー。さんの決勝進出も快挙でした。過去の「THE W」ではモノマネで決勝進出した芸人はいませんでした。他の賞レースでもモノマネで優勝したのは、16年の「R―1ぐらんぷり」のハリウッドザコシショウさんくらいではないでしょうか? それほどモノマネで決勝に行くのは難しい。それだけにキンタロー。さんの快挙には拍手を送りたいと思います。
新道竜巳