【バスケ】全ての苦難は「下剋上」に通ず 初優勝の広島ドラゴンフライズ、10年に及ぶ茨の道で培った“逆境への強さ”
“スポーツ王国”で存在感増す さらに前へ、前へ
“スポーツ王国”と称される広島県における存在感の高まりも実感できるシーズンとなった。毎試合12,000~13,000人台の観客を集めたファイナルでは、オレンジ色の衣服に身を包んだ多くのファンが横浜アリーナに駆け付け、最終第3戦の際に地元のサッカースタジアムで行われたパブリックビューイングに7千人超のファンが訪れた。 2カ所を合わせれば、人数は優に1万人を超える。500~600人から始まり、10年でここまで来た。 「広島はカープとサンフレッチェという知名度が高いプロチームがいて、それに負けたくない気持ちがありましたし、応援してくださる方々に恩返しをしたいという気持ちで戦いました。応援に感謝しています」 山崎がそう言えば、朝山も認知度向上の手応えを語る。 「スポーツ王国広島というところに目を向けると、もともと可能性がある地域でした。この優勝をきっかけに、自分たちもプロクラブの先輩チームにようやく、少しだけ近付けたんじゃないかなと思います。これが広島という地が盛り上がる一つのきっかけになってくれたら本当に嬉しいです」 ドラゴンフライズという名は、廿日市市宮島町に生息しているミヤジマトンボに由来している。トンボ(英名:ドラゴンフライ)は前にしか飛ぶことができず、決して退かないことから「勝ち虫」と呼ばれ、古来より勝利を呼び込む縁起の良い虫とされる。チームのロゴもミヤジマトンボが上に向かっていく姿がモチーフとなっている。 成績、人気ともに大きく前進した2023-24シーズンを経て、これからもチームの歩みは続く。苦難が訪れても、決して後ろに下がらず、前へ、前へ。それこそが、いつか大きな栄光をもたらすということを、広島ドラゴンフライズは身をもって知っている。
長嶺 真輝