【新紙幣の偉人】千円札に描かれた“近代日本医学の父”北里柴三郎 予防医学の礎を築いた細菌学者の足跡をたどるゆかりの地
7月3日から紙幣が20年ぶりに刷新される。千円札の「新たな顔」となるのは、北里柴三郎だ。名前は知っているけれど、実はどんな人かよく知らない。そんな人のために北里柴三郎の足跡を改めて解説する。 【イラスト】紙幣になる人物の条件は?なぜ新しくするの? 新紙幣にまつわるアレコレ
【近代日本医学の父】北里柴三郎(1853~1931)の軌跡
●ドイツで最先端医学を学ぶ 18才で医学の道を志す。32才でドイツに渡り、ベルリン大学衛生研究所所長のローベルト・コッホ氏に師事。 ●破傷風菌の純粋培養に成功 この功績により、世界的に名が知られる存在に。さらに、破傷風菌の抗毒素を発見し、血清療法を確立した。 ●日本医学の発展に尽力 帰国後、福澤諭吉の援助を受け、私立伝染病研究所を創設。その後も北里研究所や慶應大学医学部を創設した。
彼が指導した優秀な弟子たち
●野口英世 福島県出身。アフリカで黄熱病を研究中に罹患し51才で急逝。2004年に千円札の肖像になった。 ●北島多一 石川県出身。北里研究所の第2代所長、慶應義塾大学医学部長を務めた。蛇、ハブの抗毒血清の製造に成功。 ●志賀潔 宮城県出身。伝染病研究所の門下生で、赤痢菌や、最初の化学療法剤とされるトリパンロートを発見。
北里柴三郎ゆかりの地を歩く
●北里柴三郎記念館(熊本・阿蘇郡) 博士の偉業をたたえ1987年に開館。博士から子供たちのために寄贈された図書館「北里文庫」、生家の一部、貴賓館が保存されている。 【住所】熊本県阿蘇郡小国町北里3199 【営業時間】9:30~16:30 【定休日】年末年始 【料金】入場料600円(大学生~) ●北里研究所(東京・港区) 1914年に創立。狂犬病やインフルエンザ、赤痢などの血清開発に励む。戦禍を乗り越えなお伝染病の研究にいそしみ、生命科学の総合大学「北里大学」の発祥となる。キャンパス内には記念博物館もある。 【住所】東京都港区白金5-9-1(東京メトロ「白金台」駅よりすぐ) ●北里柴三郎の墓(東京・港区) 78年の人生を医学の発展に費やし、予防医学の礎を築いた偉大な細菌学者はいま、青山霊園で静かに眠る。 【住所】東京都港区南青山2-32-2(東京メトロ「外苑前」駅より徒歩7分) ●顕彰碑(静岡・伊東市) 今年建立。早くも伊東の名所に。柴三郎は晩年、静岡県伊東市内に別荘を構え、私財を投じて子供たちの通学用の橋を整備するなど地域に貢献。その功績をたたえたモニュメントは、伊東市在住の彫刻家・重岡建治氏が手掛けた。 【住所】静岡県伊東市松原(JR伊東線「伊東」駅より徒歩10分) 取材・文/川口ユウ イラスト/カツヤマケイコ ※女性セブン2024年7月11・18日号