アイドル卒業 指原莉乃に期待できる理由
“左遷”から総選挙1位に したたかなタフさ
すべてが順風満帆だったわけではない。「ゆび祭り」の約10日前には「週刊文春」で過去の話ながらスキャンダルが報じられ、事実ではないことも書かれているとしたものの、騒がせてしまったことを涙ながらに謝罪。それがきっかけでAKB48からHKT48への事実上の“左遷”が命じられるというピンチの一幕もあった。 しかし指原はネガティブな流れもポジティブな方向へ、ピンチをチャンスへ、したたかに変えて行くタフさと運を持っていた。翌13年にはHKT48劇場支配人を兼任することが発表されたが、メンバーと劇場支配人との兼任はグループ史上初の快挙。指原のプロデュース力が認められた証ともいえた。さらに同年の「AKB48 32ndシングル選抜総選挙」では当時の最高獲得票数150,570票で1位を獲得、大島優子や渡辺麻友らをおさえ初のセンターを射止めた。
指原ブランドのストロングポイント
「引きこもりで落ちこぼれだったアイドルヲタクの少女が一念発起して自らがトップアイドルになり、後進を育てるプロデューサーになった」と、秋元康氏が評価する通りの道のりを経てきた。巨大なグループで育った指原だが、結局最後に自分を救うのは個人力。グループの看板が外れたことで苦戦する卒業生も少なくないが、指原はセルフプロデュースのセンスに恵まれたことも手伝い、演者もできれば演者を盛り上げる側でも力を発揮できるという、指原自身のブランディングがすでに行われてきた。ぶっちゃけたキャラで一般にも好感を持たれているし、番組やSNSなどでのコメントも一般に通じるバランス感覚と適応力、そして度胸も持ち合わせている。これらは指原ならではのストロングポイントといえそうだ。25日には卒業コンサートのグッズについて、何気なく「今回のグッズはAKB管理ではなく太田プロ管理ちゃんなのでわたしの目がしっかり行き届いております かわいいしオタク感ちょうどいいしちゃんとしてます」とツイートしているが、ぶっちゃけ感と、プロデュースやマネージメントを意識した感が、なんとも指原らしい。 アイドルに区切りをつけて、芸能人としての新たなスタートとなる。指原とてそう簡単にはいかないだろうが、持ち前のタフさとあわせ、卒業後のさらなる活躍に期待したい。 (文・志和浩司)