相手を思いやる「悪いニュースの伝え方」。NGフレーズを避けて、気持ちに寄り添うには
悪い知らせ、とりわけ、予期されていなかった悪い知らせを誰かに伝えなければならないときは、とても気持ちが重いものです。 悪い知らせを伝えるときに使う決まり文句は、それなりにあります。 ただ、「悪いお知らせは伝えたくないのですが」や「私を悪く思わないでくださいね」といった決まり文句を使うのは、望ましくないメッセージを伝える側の罪悪感を和らげるためであって、受け取り手のショックを和らげるためではありません。 悪い知らせを伝えるときに、こう言えば相手の助けになるとか、相手の慰めになると思って使う決まり文句であっても、実際はその逆であるような例は、ほかにもたくさんあります。 また、悪い知らせを伝えなければならないときには、ボディランゲージに極端に気を使ったり、状況にふさわしい口調で話そうとしたりするかもしれません。 こうした点も確かに重要ですが、そこに気を取られすぎると、使い古された決まり文句を形だけ伝えるようなことになり、メッセージの内容そのものが付け足しのようになってしまいます。 こうした決まり文句はありきたりなものですし、場合によっては、相手の立場に立ったものでもありません。 そこで今回は、悪い知らせを伝える際に避けるべきフレーズを6つ、そして伝える時のポイントをご紹介します。
つい言ってしまいがちなNGフレーズ集
1. 「もっと悪くなることも考えられましたから」 このフレーズは「悪い知らせを受け取る側の視点で物事を見ていることを、相手に伝えられるものだ」と思われるかもしれません。 ある意味では、確かにそうです。「誰かがその影響を最小限に抑えなかったら、もっと悪い状況に陥っていた可能性がある」ということを表明しているわけです。 しかしその一方で、ペンシルベニア州ハノーバーでクリニックを開業している認定心理士(licensed psychologist)のRay W. Christner氏は「このフレーズを使うと、場合によっては、この状況を軽く見ている、相手の感情を無視していると受け取られかねません」と話します。 2. 「どんな出来事にも理由がありますから」 Christner氏によると、こうしたフレーズを聞かされると、相手は感情を害するおそれがあるといいます。「この事態は起こるべくして起こった」と言っているも同然だからです。 望まない知らせを伝えられるだけでも、相手にとって十分につらいことです。たとえ、「もっと大きなものを得るためには、この不運な出来事は必要だ」というニュアンスがあってもなくても、です。 「すべては神の思し召し」というフレーズについても同じことが言えます。 3. 「すぐに乗り越えられますよ」 このフレーズには共感が欠けていて、「こんなことは大したことじゃない」という含みがあるだけでなく、そのメッセージの文脈を変えてしまう悪い効果もあります。 そう話すのは、ドミニカでクリニックを開く臨床心理士(clinical psychologist)のAura De Los Santos氏です。 「率直に、ありのままを伝えるようにしてください」と同氏はアドバイスしています。 だからと言って、乱暴な伝え方をしていいということではありません。 伝えるべきことをはっきりと述べ、相手がその状況に適した感情を表現できるようにしてあげましょう。 4. 「お気持ちはよくわかります」 大人であれば、感じ方は人それぞれであることを理解しているはずです。 このフレーズは、相手の経験を『よくあること』にしようとして使われるものですが、思いやりがなく、真摯に心配していないことのあらわれだと感じられるおそれがあります。 このように、Christner氏は言っています。そこでChristner氏は、以下のように語ることを勧めています。 「さぞかしおつらいでしょう。私はここで、あなたをお支えしますから」 5. 「ともあれ…」 米Lifehacker編集長のMeghan Walbertが2019年に解説したように、「『ともあれ(At least)…』のあとに続くのはどんなものでも、攻撃的になりがち」です。 このフレーズは、「明るいほうの面に目を向けよう」と同様のことを言っています。たとえ、相手の力になっているつもりだとしても、使わないほうがいいでしょう。 6. 「○○に感謝すべき」 (このフレーズには、)その知らせについての、伝える側の意見が加味された表現が使われています。 受け取り手に、その知らせの意味を理解してもらい、それについてどう思うのかを決めてもらう言い回しではありません。 シカゴにある、女性と夫婦のための心理療法クリニック、Balanced Awakeningの創業者で認定心理士のHannah Yang氏はこのように指摘しています。