第93回選抜高校野球 東海大甲府、春の吉報 打線好調、活躍を誓う(その1) /山梨
◇5年ぶり6回目 5年ぶりに春の吉報が届いた――。29日に開かれた第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、東海大甲府(甲府市金竹町)が選出された。同校のセンバツ出場は5年ぶり6回目。八巻英世校長から出場決定の知らせを聞いた選手たちは喜びをかみしめ、大舞台での活躍を誓った。センバツは2月23日に組み合わせ抽選があり、3月19日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【金子昇太、梅田啓祐】 午後3時45分過ぎ、同校で待機していた八巻校長の手元の電話が鳴った。選考委員会から出場決定を知らされると、八巻校長は「大変ありがたく思います。喜んでお受け致します」と応えた。 その後、八巻校長は選手たちが練習しているグラウンドに移動。マスク姿で並んだ選手たちを前に「出場が決定しました。夢をつかんだ瞬間です。ただ、みんなの目標はここで終わるわけがないと思っているので更なる高みを目指してしっかり準備をしてください。おめでとう」と伝えた。選手たちは真剣な面持ちで耳を傾けた。 昨秋の県大会と関東大会で好投したエースの若山恵斗投手(2年)は「うれしい気持ちでいっぱい。昔から憧れていた舞台に自分が立つのを想像し、緊張してしまった」と笑顔を見せた。1年生ながら中軸を担ってきた猪ノ口絢太選手は「目標は全国優勝なので今日はあくまで通過点。甲子園ではセンターから逆方向のホームランを狙いたい」と意気込みを語った。 昨秋は関東大会で4強入りを果たしたが、常総学院(茨城2位)との準決勝はコールド負けを喫し、課題も残した。三浦諒太主将(2年)は「情けない負け方をしてしまった。秋の悔しさを甲子園でぶつけたい」と気持ちを引き締めた。 2年生でただ一人のマネジャーである杉本沙耶さんは「まだ実感はないが、すごくうれしい。甲子園に向け、選手のケアやサポートを変わらずやっていきたい」と話した。 ◇センバツ4強2度 1946年創立の私立校。74年から東海大学の系列校となる。男女共学で生徒数810人。「伸ばせ人間力」をスローガンに掲げ、強い使命感と豊かな人間性を備えた人材育成を目指している。 野球部は58年に創部。81年に夏の甲子園に、87年にセンバツにそれぞれ初出場を果たした。今回のセンバツで春夏合わせて19回目の甲子園出場となる。87年と90年のセンバツでは4強。これまでに中日の高橋周平選手や日本ハムの渡辺諒選手、ロッテの高部瑛斗選手らを輩出している。 他の部活動も盛んで柔道部は2019年の全国大会で2階級で5位に入った。高校OBには漫画家、鈴ノ木ユウさんやプロゴルファーの河野晃一郎さんらがいる。 ◇出場号外配布「ぜひ優勝を」 東海大甲府のセンバツ出場が決まった29日、甲府市金竹町の同校で、出場決定を報じる毎日新聞の号外が配られた。 昨夏の独自大会を最後に野球部を引退した長男がいる静岡市清水区のスポーツ店経営、河本康光さん(44)は号外を手に「昨年は甲子園がなく親子で泣いたが、後輩たちが見事に無念を晴らしてくれた。うれしい。ぜひ優勝してほしい」とエールを送った。【山本悟】