天才肌と言われたけど、感覚だけではできないですよ――加藤茶78歳、笑いと歩んだ半世紀
銀座で飲み歩いたら、2000万円
『全員集合』が803回で幕を下ろした3カ月後、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』がスタートする。 「『加トケン』の準備期間に、ずいぶん飲みに行きました。2、3人で銀座に行って、ハシゴしているうちに大人数になっていって。道を歩いていて『加トちゃーん!』って言われると、『飲みに行く? あいよー! 一緒に来いや』って連れていくんです。その期間に2000万くらい使いました」 志村と2人になり、生放送ではなくなった『加トケン』では、趣向を変えた。 「『全員集合』が派手だったから、派手さに負けないようにするにはどうしたらいいか考えて、大物役者さんを呼びました。勝新太郎さんのお兄さんの若山富三郎さんに芝居をやってもらったり。志村と僕はやっぱり合いましたね。2人で考えて、台本を作りました」
女優・森光子とともにコントをくり広げる『加トちゃんケンちゃん光子ちゃん』など、役者と組んだ番組も生まれた。「光子の生涯」と題し、誕生から晩年まで演じるコントをはじめ、森のコメディエンヌぶりが発揮された。 「志村と僕が考えたところに、森さんが入る。森さんは笑いがすごく好きで、全部わかってやってくれるんですよね。『こういうことをやってください』と台本に書いておくと、それを超えたことをノリノリでやってくる。爆発して黒いメイクで出てくるシーンも、僕たち以上で(笑)。僕たちも楽しみながらやっていましたね」
「財産目当て」から見方が変わって
2011年、68歳の頃、45歳年下の綾菜さんと結婚。「年の差婚」の代名詞のような存在になった。出会いは綾菜さんが働いていた割烹料理店。初デートは朝5時、場所はロイヤルホストだった。 「あの頃、僕は銀座で飲んだ後に麻雀をやっていたんですよ。そのまま行くから5時くらいになる(笑)。左とん平と小野ヤスシが『お前は騙されてるんだから、俺たちが見てやる』って。騙されていないことは、僕は自分で分かりますよ。で、『まあ、話をしてみてくれよ』って。2人は一緒に来て、僕よりも質問してましたね。いつも3人で麻雀をやっていたので、だいたい明け方にみんなで会いました」