「ヴァルキリープロファイル」25周年! 北欧神話をモチーフに、戦乙女レナス・ヴァルキュリアが英雄たちの魂を集めていくアクションRPG
エニックス(現:スクウェア・エニックス)より1999年12月22日に発売されたプレイステーション用ゲームソフト「ヴァルキリープロファイル」が、本日2024年12月22日で発売25周年を迎えた。 【この記事に関する別の画像を見る】 「ヴァルキリープロファイル」は、「スターオーシャン」シリーズなどで知られるトライエースが開発を担当したタイトル。北欧神話をベースにしたアクションRPGとなっており、主神オーディンの命により目覚めた戦乙女レナス・ヴァルキュリアが、来るべき神々の戦い「ラグナロク」に備えて人間界で死者の魂を選別していく中で、様々なドラマティックな物語が展開される。シナリオは「スターオーシャン」シリーズのゲームデザインを担当した則本真樹氏が手掛けており、非常に高い評価を受けている。 本稿では、そんな「ヴァルキリープロファイル」の魅力を振り返りたい。 ■ 「ヴァルキリープロファイル」の世界観 人間たちが住む世界を「ミッドガルド」と呼び、 神々や妖精族、巨人族などが住まう世界を「アスガルド」と呼んでいた遥か昔、アスガルドのアース神族を束ねる主神オーディンは、未来を語るという「ユーミルの首」から「神々の黄昏(ラグナロク)」が近いことを聞かされる。 オーディンは、これを長くに続くヴァン神族との争いの最終決戦の事であるとし、三姉妹のヴァルキリーの次女で、三姉妹の中でも最も神格の高い、レナス・ヴァルキュリアを召喚する。そしてレナスに、来たるべき戦争の戦力たりえる人間の魂を集めさせるべく、人間界ミッドガルドへ向かうことを命じた。 女神フレイに伴われて地上界ミッドガルドに降り立ったヴァルキリーは、志半ばで死に瀕した数々の英雄達の魂を導いていく。しかし戦乱の絶えないミッドガルドは様々な思惑が渦巻いていた。 一方のアスガルドでもある陰謀が進行しており、やがてヴァルキリーは自分自身の素性に疑問を抱くようになっていくのだ。 総じてトライエースの作品はシステムに注力しすぎてストーリーに若干難のあることが多いのだが(筆者はそこも含めて好きなのだが……)、「ヴァルキリープロファイル」は非常に練り込まれた素晴らしいストーリーとなっており、正直に言って「このストーリーに文句が出ることはないのではないか」と思っているほど、完成されつくした作品だと思っている。 本作はA~Cエンドという3つのエンディングがあり、様々な条件によって分岐するのだが、たどり着くのが最も難しいAエンディングルートでは、張られていた伏線をすべて回収して真実が明らかになっていく。それは清々しいというよりも驚愕に満ちた内容になっており、思わずコントローラを握る手が震えるほどだった。 ■ レザード・ヴァレスについて語りたい 本作が未だに愛されている理由のひとつとして挙げられるのは多彩な仲間キャラ、エインフェリアたちだ。 エインフェリアとは、死亡した人間で、レナスに選定された勇者の魂のことである。エインフェリアの参入時には、彼らの生前の様子と死に至る過程が描かれる。仲間は20名以上いるのだが、それぞれの生き様と死に様とで、うまく個性が表現されている。 またエインフェリアではないが、ヴァルキリーを偏愛するあまり、数々の悪事や謀略を仕掛ける魔道士レザード・ヴァレスは、常軌を逸した所業の数々により、非常に人気が高い。 ここでは、そんなレザード・ヴァレスについて改めて少々語らせていただきたい。 レザード・ヴァレスは声優・子安武人さん演じる、24歳の男性。錬金術師と死霊術士(ネクロマンサー)という二足のわらじを見事に履きこなし、自分の目的のためには一切、手段を選ばない天才魔術師だ。その天才ぶりは、ついに賢者の石を作り出すまでに至り、賢者の石から様々な知識を得ている。 基本的な行動原理は、いつかどこかで一目惚れしたレナスへの愛だけ。 それゆえに、現代で言うところのストーカー行為などはもちろんのこと、レナスにそっくりなホムンクルスを大量に作ったりもした。さらにそこに幼女タイプのホムンクルスも混ざっており、自分そっくりなホムンクルスに動じなかったレナスも、さすがに驚きの声を漏らすほどだった。さらに自分の作ったホムンクルスにナイフを突き刺すなどの行動も見られ、相当なS……鬼畜ぶりが伺える。これゆえ、ファンからは「鬼畜中の鬼畜」、「ロリコン」と称されることも多いのが、レザード・ヴァレスだ。なお、ホムンクルスの素材になるのは人間とエルフ。つまり大量のホムンクルスを作っていたのは、それだけの数の人間とエルフを殺害したこととなる。 そして愛しいレナスを誘い出す為に、恩師ロレンタの夫を不死者にし、ロレンタを殺させるという悪行を重ね、ホムンクルスをくすねたかつての級友メルティーナも殺害するなど、ゲーム内だけでもどれだけ手を汚したかわからないほどである。 しかし、ただの変態ロリコン眼鏡ではないことは、本作をプレイした人ならば誰しもが知っていることだろう。レザード・ヴァレスは本作において、地味にレナスに次ぐ主人公と言っても過言ではないくらい重要な役にいるのだが、ここから先はネタバレが激しくなってくるので、止めておこう。 これだけの外道ゆえ、人気キャラであると同時に嫌いなキャラクターとしても挙げられがちなのだが、筆者はレザード・ヴァレスが大大大大大好きなのである。 子安武人さんによる熱演もあって、レザード・ヴァレスは最高のキャラクターに仕上がっていると感じている。もう、子安さんの演じた歴代キャラクターの中でも、レザード・ヴァレスを上回る変態キャラは早々にいないのではないかと思っているし、今後も現われないのではないかと思っている。この演技を当時どのように子安さんにお願いしたのかも気になるが、台本からレザード・ヴァレスというキャラクターの中身を上手く組み取って演じ上げた子安さんの力量には舌を巻くばかりだ。 ちなみに、クリア後に現われるダンジョン「セラフィックゲート」では「ストーカーで、ロリコンで、フィギュアフェチ、と開発中さんざんな言われようだったこの私がお相手を致します」という自虐セリフで登場することから、レザード・ヴァレスの鬼畜ぶりは開発内公認だったようだ。 なんだかんだと年月を経て愛されキャラへと昇華したのか、他のいくつかの作品にも登場したり、スマホアプリのコラボレーションキャラクターとして登場したりもしているのだ。 ■ バトルや戦略性も秀逸 本作は、ラグナロクが始まるまでの限られた時間の中でキャラクターを育て、神界に転送し、神界での評価を維持できるのかが重要だ。 基本はチャプターとピリオドに分かれており、各チャプターで仲間になるキャラクターを捜してダンジョンで育成、神界の要望通りに育成したキャラクターを転送、という手順を繰り返すのだが、苦楽を共にしたキャラクターほど愛着も出てくるだけに、神界に送ってしまうのが躊躇われる。とはいえ、送らないとバッドエンドになるので、チャプターごとに最低ひとりは神界送りすることになる。 1チャプターは大体20~30程度のピリオドで構成され、基本的にはこのピリオドを使って街やダンジョンに入り、ピリオドを使い切るとチャプターが終了して、「神界フェイズ」に移る。 神界フェイズでは送ったエインフェリアの働きを読めたり、送り込んだ仲間の能力によって褒美がもらえ、次のチャプターへ。これを繰り返し、最終的にはラグナロク……となるのだが、この「限られた時間」をどう使うかで頭を悩ませることになる。 本作は、ダンジョンの敵はいちど倒すと、そのダンジョンを抜けるまで復活しないので、何度も戦いたいときはその分ピリオドを消費することになってしまう。そのため限られたピリオドの中で、効率よくレベルを上げていくのが重要になってくるのだ。 このシステムによって、プレーヤーに様々な攻略方法を可能にしている。 また、トライエースのゲームは戦闘システムが最高に良いのだが、本作は特に秀逸なできとなっているのだ。 リアルタイムに技を繰り出して、キャラクターごとの攻撃タイミングを合わせたりずらしたりしながらコンボを繋げるのだが、「今のパーティで有用なコンボ」を見つけるためにあれこれと試行錯誤をしなければならず、これがとても楽しい。 さらに仲間を神界へ転送していくことから、パーティー構成はその都度変わっていくので、実際には仲間が増えるたび、チャプターが変わるたびにコンボの組み合わせを見直していくくらいの頻度になる。コンボを繋げれば、経験値をアップさせる魔晶石を稼ぐことができるので、コンボを探るモチベーションを維持しやすいバトルシステムになっているのだ。 また、通常攻撃を敵に当てるとENゲージが溜まっていき、100になると必殺技を出すことができるのだが、この必殺技の演出が迫力があり声優さんの演技も熱くて、何度でも出したくなる。 ■ BGMも名曲揃い トライエースのゲームのBGMといえば、桜庭統氏だ。本作のBGMは北欧神話をベースにしているとは思えないほどプログレ寄りになっているのだが、重厚で幻想的な曲がこの世界観と合わさり凄まじい相乗効果となって、プレーヤーのやる気を煽ってくる。 通常戦闘曲の「未確認神闘シンドローム」や、ボス曲の「Confidence in the domination」は特に非常に人気が高く、桜庭氏の持ち味とレナスやエインフェリアの持つ勇ましさが表現されている。 また、ボスを撃破するとBGMが変わるという仕掛けも面白かった。ボス撃破後のダンジョンBGM「責められぬ想い」は、戦闘曲と同じくらい何度も聞くことになる曲だけに、思い出深い人も多いだろう。 筆者のお気に入りは「Hard Chain Reaction」。前述のレザード・ヴァレスの居住地である「レザード・ヴァレスの塔」でかかる曲なのだが、いわゆる「ダンジョンの曲」を想像するとまるで違う激しい曲調に驚くことになるだろう。筆者も初めてレザード・ヴァレスの塔に入り、「Hard Chain Reaction」が流れ出した時は、思わずあまりのカッコ良さに震えてしまったものだ。 「ヴァルキリープロファイル」のオリジナルサウンドトラックは、一枚のアルバムとしても非常に秀逸なできで、ゲームの世界観に合わせて和風なプログレッシブ・ロックの曲もあったりするので、ぜひ聞いてみてほしい。 なお、「ヴァルキリープロファイル」は、後に新規ムービーが追加された「ヴァルキリープロファイル -レナス-」としてPSP版が2006年に発売された。そこから時を経て、そのPS5/PS4/Android/iOS版も配信されている。現行機でもプレイ可能なタイトルなので、プレイしたことない方、久々にプレイしたくなった方はプレイしてみてほしい。 (C) 1999, 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Original version developed by tri-Ace Inc./Character design : PRODUCTION I.G
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