【阪神】藤川監督の配慮に若手投手感激 猛ハッスルに〝クギ〟「肩、ヒジは絶対に消耗品」
肩、ヒジは消耗品――。阪神・藤川球児監督(44)率いる新生猛虎は1日から高知・安芸での秋季キャンプをスタートさせた。初日はあいにくの大雨となったが、新指揮官はブルペンにじっくりと腰を据え、若手たちの投球練習を見守った。 高卒2年目のプロスペクト右腕・茨木秀俊投手(20)も約70球の熱投を披露して猛アピール。だが、藤川監督は練習後に若手の猛ハッスルに対してクギも刺した。 「今シーズン、ファームのローテーションで投げているピッチャーなのであまり無理してほしくなかった。若く伸びしろもあり、健康なので投げられるとは思うんですが、ここでたくさん投げることにどれだけ意義があるのか。ちょっと僕としては考えるところもあった。ボールは素晴らしかったですけどね。うまくストップをかけるのもコーチの仕事」 村山実監督(1988~89年)以来、36年ぶりとなる生え抜き投手出身の監督らしい配慮と気遣いがにじみ出た。現役時代の藤川監督も勝ちパターン継投の一角に定着して以降、8シーズンで計488試合に登板。蓄積した疲労と負荷は容赦なく肩やヒジをむしばみ、米球界在籍時の2013年にはトミー・ジョン(TJ)手術を受けることを決断。だからこそこの日も「肩、ヒジは絶対に消耗品。能力ある選手を失ってしまうことにもつながりかねないので」と若武者の〝勇み足〟をしっかりといさめた。 計測機器の発達とともに投球動作解析が劇的に進歩したことで、NPB投手の平均球速はグングンと上昇中。高い出力と引き換えに体が負荷に耐えきれず、若くして大きな故障につながるケースも少なくない。 阪神では高橋、才木、島本らがTJ手術を経験し、復帰までに約2年も要した。昨年のドラフト1位・下村も、今年4月に右ヒジにメスを入れたばかりで現在もリハビリの身だ。 この日の藤川監督の発言を伝え聞いたある若手投手は「藤川さんは投手出身ですから、僕らの気持ちを分かってくださる。そこは本当にありがたい」と信頼感をにじませた。新指揮官はやみくもに投げさせることなく、しっかりと育てていく。
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