大学進学を目指す高3です。両親から学費を払わないから「奨学金」を申し込むように言われました。これって普通なのでしょうか?
大学進学にあたり、奨学金の利用を親に促されている方もいらっしゃるでしょう。しかし、返済が大変というイメージや、お金を借りることへの抵抗感から、後ろ向きな印象を抱いている方もいらっしゃると思います。 そこで今回は、奨学金を利用している人の割合をご紹介しつつ、種類別の給付内容や申請条件なども解説します。奨学金の利用で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金を利用している人の割合
独立行政法人日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で55.0%、短期大学(昼間部)で61.5%です。 ただし、奨学金を申請しても、必ず利用できるとは限らないようです。実際、大学(昼間部)の2.4%、短期大学(昼間部)の2.0%の生徒が、「申請したが不採用」と回答しています。不採用の理由は、学力や家計が申請条件を満たしていないなどです。 したがって、奨学金を申請する際は、自身の学力と家計を事前に把握する必要があります。そのうえで、条件を満たす奨学金制度をピックアップすることになるでしょう。
奨学金の種類
奨学金の申請条件は、「給付型」と「貸与型」のどちらを利用するかで異なります。給付型と貸与型では、給付の内容や卒業後の負担にも違いがあるため、それぞれの特徴を把握することが重要です。 今回は、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度を例に、給付型と貸与型の違いを解説します。 ■給付型 給付型の特徴は、返済が原則不要なことです。そのため、卒業後に負担が生じる心配はないでしょう。 給付月額は、世帯所得金額や進学先の属性などから決定されます。また、以下では、高校在学中に申し込む場合の申し込み基準についてご紹介します。 【学力基準】 ・高等学校等における第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均額が、5段階評価で3.5以上であること ・将来、社会で独立し、及び活躍する目標をもって、入学しようとする大学等における学修意欲を有することが、文書、面談等により確認できること 【収入基準】 第1区分:本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること 第2区分:本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上2万5600円であること 第3区分:本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が2万5600円以上5万1300円であること 第4区分:本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が5万1300円以上15万4500円であること なお、給付奨学金は、進学先の大学などが給付奨学金の対象校として国、または自治体の確認を受けていることが必要とされています。 給付型は返済義務がない分、申し込み基準が貸与型に比べて厳しい傾向にあるようです。 ■貸与型 貸与型は、返済義務のある奨学金です。無利息の「第一種奨学金」と、利息付きの「第二種奨学金」の2種類があります。 高校在学中に第一種奨学金に申し込む場合の学力基準は、次のいずれかに該当することです。 ・高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上であること ・高等学校卒業程度認定試験合格者であること 一方、第二種奨学金の学力基準は以下のいずれかに該当することです。 ・高等学校又は専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者 ・特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者 ・進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者 ・高等学校卒業程度認定試験合格者であること 申請条件も第一種奨学金と第二種奨学金で異なり、基本的には第一種奨学金の方が厳しく設定されていることが想定されます。