「大学受験地図が一変する…」東洋大学の「常識を覆す」新しい学校推薦選抜に教育現場が揺れるワケ
新学習指導要領による初の大学入試となる2025年度入試に、もう一つの変革が起ころうとしている。東洋大学による学力試験2教科のみの学校推薦型選抜の実施だ。入学者選抜と合格発表が年内に行われ、複数学部学科や一般選抜、他大学との併願も可能なことから、相当数の志願者を集めるものと見込まれている。大学受験地図を一変しかねないともいわれる同大学の入試について、11月の出願時期を前に教育現場の声を聞いてみた。(アロー教育総合研究所 所長 田嶋 裕) 2024年度の一般選抜で10万人以上の志願者を集めた東洋大学
東洋大学が発端となった「年内入試への新たな衝撃」
いよいよ9月、大学受験生にとっては入試が一気に現実味を帯びる時期に突入した――と言っても、親世代にはなかなか実感しづらいかもしれない。昨今では「総合型選抜」「学校推薦型選抜」など、年内に実施し結果が公表される選抜試験での合格者が、私立大学入学者の60%を占めるようになった。すでに今月早々から各大学で総合型選抜の願書受け付けが始まっている。 進む少子化への対応、あるいは、コロナ禍以降の受験生の安全志向の高まりもあり、とりわけ多くの学生を擁する大都市の私立大学にとって、年内に一定数の入学者を確保できるかが生き残りをかけた大きな課題となっている。ところが、そのし烈な競争に輪をかけて、今年は年内入試に“大学受験地図を一変しかねない”ほどの新たな衝撃が走っているのだ。 それは、東洋大学が2024年3月、25年度入試から学校推薦型選抜に「基礎学力テスト型」を導入すると発表したことに端を発する。東洋大学といえば、24年度の一般選抜で志願者数が前年度から一気に1万6000人近く増加、およそ10万3000人に達したことが記憶に新しい。 私立では近畿大学、千葉工業大学、明治大学に次ぐ第4位のポジションである。一連の不祥事の影響で、前年度比約2万3000人減となった日本大学の受験生の大半を、東洋大学が吸い尽くしたといっても過言ではないだろう(以上、豊島継男事務所調べ)。 「基礎学力テスト型」の導入でさらに勢いに乗ろうという東洋大学。果たして同テストの何が、それほどの衝撃といわれているのだろうか。