ロシア強制収容所博物館が閉鎖 スターリン再評価と関連か
【モスクワ共同】旧ソ連の独裁者スターリンが主に1930~50年代に行った大粛清や政治弾圧の資料を展示するモスクワの国立強制収容所歴史博物館が11月中旬に当局の指示で閉鎖された。プーチン政権が千日以上に及ぶウクライナ侵攻を第2次大戦に続く国の命運を左右する戦いと位置づける中、博物館の閉鎖は大戦を勝利に導いたスターリンを再評価し、負の側面を強調しない動きの一環とみられる。 2001年に設立された博物館は強制収容所に関する文書や映像のほか、元収容者の証言などを各地から集め多数展示。ソ連時代の闇を伝えるロシアで数少ない施設として国際的評価も高かったが、モスクワ市の検査で防火対策違反を指摘されたとして博物館は「11月14日から一時的に閉館する」と発表した。 ロシアの人権活動家らは閉鎖が「一時的」では終わらないと懸念する。プーチン政権に批判的なメディア、モスクワ・タイムズによると、複数のモスクワ市当局者は「ロシア大統領府や連邦保安局(FSB)から博物館を閉鎖するように圧力を受けた」と証言した。