2025年もローリング・ストーンズに期待大 必聴アルバムはこの3枚【アナログで聴きたい名盤】
世界最強のロックバンド、ローリング・ストーンズは2023年に「半世紀ぶりの傑作」と呼ばれる18年ぶりの新録アルバム「ハックニー・ダイアモンズ」をリリース。あまりの内容のすごさに世界中のストーンズファンを熱狂させ、完全復活を果たした。24年にもライブ盤をリリース。結成63年となる25年も快進撃が期待される。今回は特別編として60年代、70年代、80年代のストーンズの必聴アルバムをお届けします。 【レット・イット・ブリード(1969年)】1960年代最後を飾るアルバムにして、ストーンズの転換期にリリースされた大傑作。7月にはブライアン・ジョーンズが解雇直後に死去。12月にはいわゆる「オルタモントの悲劇」が起きるなどバンドには大きな事件が相次いでいた時期だった。 しかし68年の「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」で低迷期を脱出すると、同年にはこれまた傑作の「べガーズ・バンケット」をリリース。原点であるブルースを基本としながらも、米国南部音楽のエッセンスを導入し、優れたメロディーを持つ基本的なロックンロールに立ち返った。その集大成がこの作品だ。 キース・リチャーズは独特のキャッチーで優れたリフを次々と考案。ミック・テイラーという天才ギタリストの加入も大きかった。キースはギターだけでなく他の楽器でも自由奔放に弾きまくっている。 ミックの加入でラフでルーズなリズムギターと、鋭いリードギターという編成も完成した。冒頭のメリー・クレイトンが参加した「ギミー・シェルター」、ラストを飾る「無情の世界」などスケールの大きな曲も誕生した。「むなしき愛」や「カントリー・ホンク」などブルースに立ち返った曲も味わい深い。自由自在にバンドの音は鳴り響き、開放的になったミック・ジャガーのボーカルも一段と迫力を増した。このアルバムをステップにストーンズは70年代から快進撃を開始する。 【スティッキー・フィンガーズ(1971年)】71年にストーンズは待望の自主レーベル「ローリング・ストーンズ・レコード」を設立。その第1弾であり70年代の幕開けを告げる痛快なロックンロール・アルバムだ。このアルバムをバンドのベストに挙げる方も多いのではないか。 冒頭を飾るのは名曲中の名曲で全米1位を記録した「ブラウン・シュガー」。ロックの基本が「カッコいい」という単純な発想ならば、これこそロックの教科書的ナンバーである。暗い曲は影を潜め、リズムを刻むアコギと鋭いスライドギター。ここからストーンズの黄金の70年代が始まった。 そして3曲目のストーンズのバラードの最高傑作である「ワイルド・ホース」。カントリーロックの大御所グラム・パーソンズの影響を受けたキースが、彼と作り上げた作品とされる。「野生の馬たちよ、俺らはいつかお前たちに乗ってみせる」と静かに歌うミックのボーカルには思わず泣けてくる。 その他にも得意のブルースのカバー「ユー・ガッタ・ムーヴ」のルーズさ、「ビッチ」の性急感、珍しく明るいカントリーナンバー「デッド・フラワーズ」など秀逸な曲が続き、情緒にあふれた「ムーンライト・マイル」でアルバムは幕を閉じる。ムダな曲は1曲もない、ストーンズ最強期の名作だ。 【エモーショナル・レスキュー(1980年)】ディスコブームに強烈な「回答」を示した前作「女たち」から2年のブランクを置いて発売された80年代最初にして最高のアルバム(「刺青の男」も捨てがたいが…)。 「女たち」同様にディスコに対するストーンズの姿勢はさらに進化した。 いきなり重量感あふれる「ダンス」は聴くものを圧倒する。「俺たちの重いビートで踊れるかい?」というミックの挑発的な声が聞こえてきそうだ。もはやディスコを超えたストーンズ流の重量ファンクといっていいだろう。 同様にスキャットが印象的な「エモーショナル・レスキュー」でも、重量感あふれるファンクが展開される。その合間にストーンズらしいスピード感たっぷりのロックンロール「サマー・ロマンス」や「ボーイズ・ゴー」、レゲエ調の「センド・イット・トゥ・ミー」などあらゆるタイプの曲がアルバムを彩り、最後はキースのボーカル「オール・アバウト・ユー」で幕を閉じる。 70年代の「ブラック・アンド・ブルー」「女たち」からディスコブームに真っ向勝負を仕掛け続けたストーンズにとっての、ひとつのマイルストーンとなったアルバムである。全米と全英で1位を記録した。
東スポWEB