「裏金隠し解散」野党批判に石破茂首相「日本創生解散です」 裏金議員12人非公認で厳格アピールも当選すれば公認へ
衆院は9日午後の本会議で解散した。政府は同日夕の臨時閣議で衆院選の日程を「15日公示・27日投開票」と決定。石破茂首相(67)は会見で「日本創生解散」と名付けた。自民党は9日午前、都内で選挙対策本部会議を開き、派閥裏金事件に関係した議員らのうち既に決定していた6人を含む計12人を非公認とすることを定めた。解散に先立ち、石破首相と野党党首による党首討論が行われ、石破氏は非公認議員が当選した場合、追加公認することを示唆した。 解散直前という異例日程のなかで行われた党首討論。衆院選での自民12議員非公認の報を受け、野党側は裏金関連に多くの時間を割いた。立憲民主党の野田佳彦代表(67)は「首相は(裏金議員の)相当程度が非公認だとおっしゃったが、非公認は12人で公認約30人。大半が公認じゃないですか」と追及。「裏金隠し解散だ」とネーミングを付けて批判した。 石破首相は「(裏金議員に対し)甘いとか、いいかげんだとは一切考えていない」と怒気含みで反論。続けて非公認12議員が当選した際に追加で公認するかと問われて「主権者たる国民のみなさま方がご判断された場合、公認するということはございます」と明言した。ザワつく議場をバックに野田氏から「早く選挙でみそぎして、終わったら彼らを要職につけるということですね」とイヤミを言われると、不満げに首を振った。 国民民主党の玉木雄一郎代表(55)に政策活動費を衆院選で使うか問われた石破氏は「使うことはございます」と断言。政策活動費は使途公開義務がないことから「政治とカネ」問題の炎上要因にもなっており、首相自身も「将来的な廃止も念頭に置いている」と語っていた。石破氏は「現在許されているものを使うことは可能性としては、否定しない」と重ねて衆院選での政策活動費投入を示唆。玉木氏からは「これ、結構な問題発言ですよ。選挙がゆがむ」と突っ込まれたが、発言を取り消すことはなかった。 日本維新の会の馬場伸幸代表(59)からの「参院選でも、同じ物差しで公認非公認をお決めになるのか」の質問には「同じ国会議員なので衆議院と参議院で違う対応をすることはございません」。来夏の参院選でも衆院選と同じように判断する考えを示した。 その後行われた衆議本会議で衆院は解散。1日の首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短となる。石破首相は、同日夜に首相官邸で会見。「日本創生解散です」と自ら名付け、衆院選での勝敗ラインについては「自公で過半数」と初めて明言。過半数割れの場合、辞任などの責任を取るのかとの質問には「コメントすることは差し控えさせていただきます」とした。 逆風をかわそうと、公認問題で厳格対応したことをアピールする石破氏だが、党内外からの批判は収まらず。先行きが見通せない戦後最短の選挙戦が始まった。
報知新聞社