マイクロソフトやアクセンチュアなど現場のデータで明らかに、生成AIが及ぼす生産性へのリアルな影響
AIと生産性、企業におけるソフトウェア開発、最新調査概要
生成AIが労働生産性に与える影響について、具体的なデータが明らかになった。マイクロソフト、アクセンチュア、そして匿名の大手電機メーカーにおいて実施された大規模な無作為化比較実験の結果、AIを活用した開発者支援ツール「GitHub Copilot」の導入により、ソフトウェア開発者の生産性が26.08%向上したことが判明した。 調査は、プリンストン大学、MIT、マイクロソフト、ペンシルベニア大学ウォートン校の研究者らによって実施された。対象となったのは、4867人(3社合計)のソフトウェア開発者だ。GitHub Copilotは、GitHubとOpenAIとの協業で開発されたAIベースのコーディングアシスタントで、インテリジェントなコード補完を提案する機能を持つ。開発者が書いているコードやコメントの文脈を分析し、関連するコードスニペット、コメント、ドキュメンテーションを生成する。これにより、開発者が手動で入力する作業を省略したり、オンラインで検索する必要があるスニペットを提案したりすることができる。 GitHub Copilotの特徴は、大量のコードデータを学習した高度な機械学習技術と自然言語処理を組み合わせている点にある。GitHubの公開リポジトリにある大量のコードが学習データとして使用されており、これにより実際の開発現場での様々なプログラミング言語やフレームワークにおけるコーディング手法、パターン、スタイルを学習している。ただし、他のLLMベースのツールと同様に、Copilotも間違いを犯す可能性があり、開発者がレビューなしに依存すると、エラーを引き起こしたりコード品質が低下してしまうリスクを伴う。 特筆すべきは、この調査がAIの影響を実際の職場環境で検証した点にある。これまでの研究の多くは、管理された実験室的な環境で行われていたが、本調査は企業における日常的な業務の中でAIツールの効果を測定。特に、ソフトウェア開発という高度なスキルを要する職種におけるAIの影響を明らかにした点で、従来の研究とは一線を画している。