日銀会合注目点:総裁会見で早期利上げ示唆あるか、政策維持の見込み
日銀の政策決定の数時間前には、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が公表される。9月と11月に続く3会合連続の利下げが見込まれているが、緩和ペースの鈍化が示唆されれば、さらなる円安進行によって日銀会合の議論に影響を与える可能性もある。
7月末の日銀の利上げは市場で予想外と受け止められ、世界的に金融市場が大きく不安定化する一因となった。植田総裁は市場との対話を一段と丁寧に行う考えを表明しているが、サプライズへの警戒感はくすぶる。ブルームバーグの5-10日のエコノミスト調査では1月会合での利上げ予想が56%を占めたが、リスクシナリオとしての最も早いタイミングは12月とする回答が88%に達した。
多角的レビュー
今回の会合では、日銀が1年半以上にわたって議論や分析を行ってきた金融政策の多角的レビューが取りまとめられる。将来の金融政策運営に関する知見を得ることを狙いに、過去25年間の非伝統的な金融政策の効果と副作用などをさまざまな角度から検証したもので、植田総裁は短期的な金融政策との関係を否定している。
これまでに、2013年から始まった大規模な「量的・質的金融緩和」について、実質国内総生産(GDP)を1.3-1.8%程度、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価の前年比を0.5-0.7%ポイント程度押し上げたとする試算などを示した。企業の賃金・価格設定やインフレ期待、自然利子率、日銀財務などに関する多くの論文も公表している。
オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表は、多角的レビューについて、長い目で見た金融政策の正常化を正当化する内容になると想定。正常化への強い意欲を示すことによって、「短期的にも為替市場をけん制する効果は多少期待出来る」としている。
他のポイント
(c)2024 Bloomberg L.P.
Sumio Ito