村田桂次郎と鮫島颯介、正反対な2人の敬意を持ったエース対決 [ウインターカップ/高校バスケ]
身体能力とボディバランスを生かしてダイナミックなシュートを決め、その後に派手なセレブレーションをする村田と、それを受けて緩急やスキルを駆使して淡々と点を返していく鮫島。彼らのプレースタイルやコート上でのボディランゲージはあまりにも対照的だったが、それぞれの色をしっかりと表現する見応えのあるバトルだった。 互いに対戦するのはこの試合が初めてだったが、鮫島は「村田選手は世代屈指のポイントゲッターで、一人では守れないとしっかりとチームで話し合っていて、村田選手がドライブをしたら3人がかりでもいいから、無理にでも止めることを心がけていました。でも、やはりそう簡単に守れる相手じゃありませんでした。今後、もしかしたら大学でも対戦するかもしれない相手なので、スター選手相手にどれだけやれるのかを考えながら挑んでました」と村田の存在を意識する部分があったと認めていた。 一方の村田も「試合前から相手のキーマンは鮫島選手だと思っていたので、試合の中でのリスペクトももちろんありました。自分が得点やディフェンスの部分で(鮫島に)絶対に負けないようにという意識はありました」と話していた。 勝敗が決した残り数秒の場面で、村田は交代のために鮫島にファウルをした。そのファウルの後、彼らは軽くハイタッチをした。 試合序盤から中盤にかけては、表には出さないまでも彼らの間にはバチバチした雰囲気が漂っていたが、この瞬間には村田の話した「リスペクト」をお互いに示しているように感じられた。川内は1回戦で敗れ、鮫島の高校バスケはここで幕引きとなった。だが、彼の意志を村田と久我山が引き継いで次のラウンドに進んでくれるに違いない。 2人のスタッツは村田が37得点、4リバウンド、7アシストで、鮫島が29得点、9リバウンド、5アシスト。得点は両者ともチームハイだった。2人の“エース対決”はハイタッチで終わった最後の瞬間まで見る者の心をアツくした。
文/堀内涼(月刊バスケットボール)