「テレビは終わり」は極論、当たり外れは“神の領域”…トレンディードラマ立役者の言い分
カギ握る映像のリアル化
欧米の配信では、プロデューサーや脚本家を兼ねて全体を統治する「ショーランナー」がいて、その下に複数の脚本家で台本を練るライターズルームがある。レベルが高いものができるかもしれないが、シンガー・ソングライターがふらっと書いた曲が大ヒットするようなことも当然ある。どちらがいいという話ではない。
テレビ局の問題は、いいドラマを作ってヒットさせたら、それで終わりだったことだ。その先のビジネスは、海外向けに番組販売をしたり、リメイク権を売ったりするくらいだった。今はヒット作をIP(知的財産)として扱う時代。ゲーム、映画、アニメ、商品化などを考える必要がある。
アニメのミッキーマウスをリアル化したディズニーランドがそうだが、これからは映像のリアル化がカギになるだろう。それこそが、次に向かう一つの道ではないか。以前は、日本人はイマーシブ(没入)型や体験型のテーマパークは、恥ずかしくて行かないと言っていたが、今やもうみんな行って、歌ったり踊ったりしている。最新技術を使えば何でも表現できる。「聖地巡礼」や「推し活」も活発で、観客席に座って見るだけだったエンタメの楽しみ方が変わってきた。この流れは進化して止まらないだろう。それは0から1を生み出す制作力があり、マスに発信してIPを作り出すテレビ局だからできることだ。
視聴率が下がってきたこの10年は、アニメを発端に、自分たちが持ってるコンテンツが世界に通用すると気づいた時代でもある。世界にビジネスが広がる可能性があり、テレビの力を持ってすれば、IPの時代も輝き直せますよ。
おおた・とおる 1958年生まれ、東京都出身。81年、フジテレビ入社。制作畑でトレンディードラマ路線の立役者。24年から現職。
「自分で選ぶのが煩わしい人も」U-NEXT社長・堤天心
リクルートに勤めていた2000年代前半、ブロードバンド時代には、送信できるデータ容量は飛躍的に伸びていくと本で読んだ。それでインターネットのインフラで動画やアニメーションが当たり前のように送れる時代が来ると確信し、ブロードバンドと動画を扱っていたU―NEXT(当時USEN)に転職した。