群ようこ68歳にしてお茶を習う。お稽古の見学で、膝下と足の甲が赤く痕に。バレーボール用、新体操用と膝当てを色々試し、最後にたどり着いたのは
次は古帛紗と菓子切りである。古帛紗は価格の幅が広く、私が見たなかでは380円から9万円以上のものまであった。もちろん何万円もするものを、超初心者の私が持つ必要はないけれど、あまりに安っぽいのも避けたい。 柄もたくさんあるので、どれを選んでいいのかわからなかったのだが、「お道具の柄とかぶると亭主に失礼なので、古帛紗は柄違いのものを3枚ほど持参したほうがよい」と書いてある本を見た。 よく花見に桜の柄の着物や帯を身につけるのはよろしくないといわれていたが、今はよほどうるさい人でない限り、そんなことはいわなくなった。私も花見に桜の着物や帯をしている人を見ても、何とも思わない。 しかし茶道については、亭主が選んだ道具に対して、客が持ってきた物の柄や身につけているものがかぶるのは、やはり今でも避けるべき問題なのだろう。そのために複数枚の古帛紗を持つ配慮も必要なのだと勉強になった。 といっても私は超初心者だし、御茶席に呼ばれる機会もほぼないと思われるので、お稽古のみに使う、ほどほどの値段であまりお道具の邪魔をしないようなものを1枚と、3000円から4000円程度のものでいいかなと思い、どんな着物にも合いそうな、白地の古典柄の古帛紗を選んだ。四角形の三方を縫うだけなので、いずれ自分で作れそうな気もしてきた。 菓子切りは、師匠のところで黒文字を出され、いろいろと検索してみると黒文字が主流のような気がしたので、買おうとしたのだが、3寸、3.5寸、4寸など、菓子切り用として何種類かの長さがある。これはどうすればいいのだろうかと悩んだ結果、3寸と3.5寸のものを買った。もし使わなくても家で使うこともあるだろう。
数寄屋袋はたまたま30パーセント引きのクーポンを持っていた店で、雨龍間道(あまりゅうかんとう)のものがあったのでそれと、同じ雨龍間道柄のステンレス製の菓子楊枝つきの楊枝入れがあったので購入した。黒文字がいいのかステンレスでもいいのか、師匠に聞いてみよう。これらが揃えば、お稽古に通えるので、早く届かないかなと心待ちにしていた。 こちらも注文して3、4日ですべての品物が届いた。3寸の楊枝はちょっと短かった。楊枝入れについていたステンレス製の菓子切りは、10.5センチの長さだった。3.5寸のものが合うのだけれど、御菓子をいただいた後、黒文字を懐紙にくるんで持ち帰ったとしても、それは次回には使えない。 おまけに黒文字は使う前に十分ほど水に浸けておいたほうが、菓子がくっつかないとあったので、事前の手間もかかりそうだった。 すべて次回、「師匠、兄弟子、姉弟子に聞いてみよう」である。数寄屋袋に必要なものを入れると、形だけは整った。 ※本稿は、『老いてお茶を習う』(著:群ようこ/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
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