正智深谷 10番・近藤七音、「今日は僕がヒーローになります」宣言どおり決勝点 全国高校サッカー
◇29日 第103回全国高校サッカー選手権大会1回戦 正智深谷(埼玉)2―1長崎総大付(NACK5スタジアム大宮) 正智深谷の背番号10が絶好機で強振した。1―1で迎えた後半13分。MF吉田匠吾(3年)が敵陣左サイドで仕掛け、ぽっかりと空いた中央でMF近藤七音(3年)がラストパスを受けた。すぐさまゴール右隅を狙ったものの、肝心の足先が芝生に引っかかった。「入ってくれ!」。不規則な弾道となったシュートを長崎総大付のGKマガリェンスは捕球できない。全国の舞台で”勝負運”がもたらした決勝点だった。 有言実行となる一撃だった。近藤は埼玉県大会で全く活躍できず「何もできなくて、結果も残せなかった」。悔しく、ふがいない思いをぶつける決意と覚悟。試合前、小島時和監督に「今日は僕がヒーローになります」と宣言した。イニエスタに憧れる身長166センチの小さなエースは、巧みな技術力と意表を突くようなパスで攻撃のタクトを握り続け、あえて背負い込んだ重責を見事に全うした。 次戦の相手は優勝候補の一角、東福岡。「どれくらい自分たちのサッカーができるか楽しみ」と近藤。8大会ぶりにつかんだ白星も、前進するための通過点にすぎない。
中日スポーツ