国や自治体も本腰 全国で増える「空き家」問題
住み主のいないまま放置されている「空き家」が、全国で増加傾向にあることが問題になっています。総務省の2008年調査では空き家の総数は757万戸で、空き家率は13・1%に達しており、賃貸向けではない個人住宅でも約270万戸を占めています。2013年の調査は現在進行中ですが、高齢化や人口減少傾向などから「今後も増加する傾向は続くとみている」(国土交通省)といい、国や自治体も対策に本腰を入れ始めています。 空き家はゴミの不法投棄のたまり場になったり、放火など犯罪の温床になる心配があるほか、大震災などが起きた場合、倒壊して周辺住民の避難路をふさぐといった問題も指摘されています。総務省が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」によると、2008年の空き家数は1988年の約2倍に増加しており、都市部でも地方部でも同様に増加傾向にあります。
なぜ空き家が増える?
空き家が増える理由はいくつかあります。 (1)それまでの所有者が亡くなったりして空き家になった場合、相続しても登記の書類書き換えを行っておらず、次の所有者を特定することが難しいケースが多く、地方自治体の改修や撤去指導が難しい。 (2)200平方メートル以下の小規模住宅地では税制の特例措置として固定資産税が軽減されるが、空き家を撤去して更地にすると同税が6倍になってしまい、所有者が空き家を現状維持してしまう。 (3)建築基準法では、住宅の敷地は原則、道路と2メートル以上接していなくてはならないが、道路条件を満たしていない空き家も多く、解体してしまうと新たな建物は建築できないことが多い。 (4)高額な撤去費用が捻出できない。 といった問題があげられます。撤去費用に関しては小規模住宅でも「100万円前後は必要な場合が多い」(地方自治体関係者)といいます。また景気回復傾向による地価上昇の期待から空き家物件の売買を手控えているという面もあるようです。