国や自治体も本腰 全国で増える「空き家」問題
空き家対策で法案も
こうしたことから、さまざまな空き家対策が出始めました。自民党の空き家対策推進議員連盟は空き家の自主撤去を進めた場合、一定の期間にわたって固定資産税の軽減を認める法案を臨時国会に提出する方針。また国土交通省の「空家再生等推進事業」では、地方公共団体が空き家住宅などを撤去する場合、国費で2分の1を負担することを認めています。 島根県松江市では中心市街地の空き家や空き地の活用を促進するため、「まちなか住宅団地整備事業補助金」として、空き家などを撤去して住宅団地を整備する場合、経費の2分の1の範囲内(上限500万円)で補助する事業を実施しています。中心市街地では建築基準法の道路要件に満たない空き家が多いため、ひとまとめで整備することで宅地開発を促すのが狙いで、すでに空き家2軒と空き地1カ所を取りまとめた整備で補助を受けた実績があるといいます。 さらに和歌山県は、別荘や賃貸物件を除いた空き家率が9.08%と全国ワーストだったことから、周辺住民が求めた場合、知事が空き家の所有者に撤去や修繕を命令・勧告できる条例を昨年施行しました。「相談件数は増加傾向にある」(同県)といいますが、周辺住民の3分の2以上の要請が必要なため、地方部では意見を取りまとめることが難しい面もあるようです。 このほか東京都足立区では空き家の解体費用に対して一部補助をするといった条例を設置するなど、空き家対策を講じる地方自治体が増えており、国土交通省によると現在200を超す自治体が何らかの空き家対策条例を設置しています。 高齢化などによって今後の空き家率は20%を超すという見方も出ています。都市部などでは、まだ使える空き家住宅を改修するなどして売買する中古住宅市場の充実も今後求められそうです。