「信仰求めたのに選挙ばっかり」現役会員が明かす創価学会「集票力低下」の内部事情…15年ぶり交代の公明党・石井新代表にも冷めた目線
《日本の柱公明党》《大衆福祉の公明党》 1964年11月17日、ふたつの立党精神を宣言し、船出した公明党。結党60年という節目を目前に控え、“庶民の党”を標榜してきた同党が、大きな曲がり角に直面している。 「ほっとした顔」15年務めた公明党代表を退任した山口那津男【写真アリ】 「9月27日の自民党総裁選で、高市早苗前経済安全保障担当相との決選投票を制した石破茂新首相のもと、早期の衆院解散・総選挙に突入すると見られています。一方、自民と連立政権を組む公明党は、9月28日の党大会で、山口那津男代表に代わり、石井啓一幹事長の代表就任が決定。公明党としては、15年ぶりの代表交代です。自民に歩み寄るタイミングで体制刷新に踏み切ったのは、党の立て直しや世代交代以上に、来たる衆院選への強い危機感が透けて見えます」(政治部記者) 背景にあるのは、公明党の国政選挙における深刻な得票力低下傾向だ。支持母体である創価学会の支援により、盤石な組織票を誇った同党だが、近年は集票力がふるわず、下降の一途をたどる。比例区では1000万票に迫らんとしていた2004~2005年をピークに、2022年の衆院選では618万票に留まった。結党以来、党執行部が依存し、“集票マシン”と呼ばれた創価学会内部で何が起こっているのか。複数の学会員が内情と本音を明かす。 「どこの組織でもそうですが、創価学会も高齢化が進み、推進力・機動力が低下していることに尽きます。『青年育成』とスローガンを掲げてはいたものの、相次ぐ選挙支援や新聞推進などで、末端の会員まで成果を出すことに必死になった結果、『未来部』という18歳以下の若年層信者の人材育成が置き去りにされ、子どもたちも活動を敬遠するようになってしまいました。いま、地区の40世帯ぐらいのエリアで会合を開いても、子どもは1~2人くらいしか来ません。 また、女子部のなかには、未婚女性で構成された『白蓮(びゃくれん)グループ』という、それぞれの役職につく特別グループがあったんですが、もうそこに入る女性すらいなくなってしまいました。折伏(しゃくふく)という、入信に導くための説得を受けて、新入会する人もいるんですが、3年後にはその7割が、もう未活動か、ほぼ脱会しているというケースも多いです。勧めるときは成績になるから一生懸命勧めても、いざ入ったら、後のフォローもしないんです」(50代男性) 議員や候補の実態に、嫌気がさす会員も多いという。 「もちろん現場に入り、真剣にがんばっている議員や候補者も大勢いますが、『組織に頭を下げていたら、選挙に立候補させてもらえる』とあぐらをかいている者が多いのも事実。池田大作名誉会長の話さえ演説していれば、組織がバックアップしてくれるという慢心が目立ちます。そんな人を応援しろといわれても、支援に力が入るはずがありません。なのに支援ばかり要求されて、『信仰を求めて入ったのに、選挙ばっかりじゃないか』と嫌気がさしてしまうのです。 会員の意識として、選挙支援に対して『信仰とは関係がない』と割り切っている人も多いように思います。役職など立場があり、組織に留まりたい人は、選挙運動に協力しているふりをする。組織のなかでの人間関係を保たないと……という考えからかも知れませんが、これが問題です。新聞購読とは違い、選挙は真実が見えない。『投票しました』といわれても当てにならないが、それを純粋に信頼してしまう。そうすると、頻繁にとる“投票依頼”集計では、日本の人口を上回るぐらい集票数が出てきますが、実際は、はるかその数に及ばないんだから、あきれたものです。友党である自民党に対しても『こちらから票をまわしているのに見返りがない』などと、それが真実であっても上から目線の態度を取る人も見かけます」(40代男性) 15年ぶりの新代表・石井氏にも、冷めた目線が注がれているようだ。古参の女性会員が語る。 「組織内には、『山口さんが代わるのは残念だ』と惜しむ声もあるけど、ほとんどの会員には何の動揺もないですよ。次の選挙で、関西6選挙区(大阪4選挙区と兵庫2選挙区)が維新にやられ、全滅するかもしれないという危機があり、山口氏は交代になったわけですよね。『なっちゃん』などと呼ばれて女性受けがよく、続投の話に本人も意欲を示していたと聞いていますが、兵庫県知事問題などで維新が失速。自民、立憲民主党も代表交代という流れに乗っかり、急遽、石井さんに交代となっただけでは。石井さんは優秀で頭がいい人ですが、『けいちゃん』などという愛称で、婦人部に愛嬌を振りまけるか、疑問です」(60代女性) 党側に意見を言う権限がなく、すべて組織(学会)側の意見で固められていることに、問題意識を示す人も。 「地元との結びつきやパイプがない一部の幹部が、密室で候補者を決めているのがよくない。しかも、組織である程度の立場についている人は、『誰のおかげで議員をやれてるんだ!』などと憤る会員たちの姿をさんざん目にしているので、誰も選挙なんて出たくない。結果、公明党は議員定年制を打ち出しておきながら、議員立候補のなり手がいなくて、70歳を超えても平気で公認しているところは、ローカルに行くほど多いですよ。そういう矛盾を正すには、党と組織が、それぞれの立場で情報や意見交換をしながら、車の両輪としてがんばるのが正しいのではないでしょうか。創価学会だけで凝り固まらず、一般の支援者とともに動かないと、ますます世間から孤立し、開かれた政党にならないのではないかと危惧しています」(前出・50代男性) 一般会員の間に渦巻く不信をどう解消するか――。公明党が党勢を復活させるには、創価学会という組織そのものにメスを入れるしかないのか……。