金属バット（左：小林圭輔、右：友保隼平）

お笑いブームに伴い、芸人さんのグッズも多様化しているのをご存知だろうか。Tシャツやステッカーだけでなく、アクリルスタンドやトレーディングカードも登場しアイドルさながらの人気。それらと一線を画す、ブレイク前の芸人のグッズを制作し爆売れしている「イケイケ雑貨屋スケロク」さんにお話を聞いた。 【写真】最初に制作した「さらば青春の光」Tシャツ ――グッズ制作を始めたきっかけは？ スケロク：NSC23期なんです。でも超緊張しぃで、奈良から難波に電車に乗るだけで下痢になり、途中下車を繰り返して通うのに4時間かかっていました。それで僕はお笑いに向いていないと思って諦めたんです。当初の目標は、NSCの学費の元を取ること。両親は銀行員。まわりはエリートが多くて妹も慶応大学の大学院を出てるんです。悔しくて、勉強とは違う何かで勝ちたくて、グッズ制作を始めました。 ――なぜグッズ制作を？ スケロク：中学生の頃、学校の成績が悪くて、先生から進学を心配されていました。ヤバイと思ってひたすら絵を描いたら関西の夏休み絵画展で特賞を取って、あ、これはいけるんやと。でもデザイナーは雇われるので、プレッシャーに弱い僕は潰れるだろうなと思ったのがグッズ制作を始めるきっかけです。 ――最初に作ったのは？ スケロク：「さらば青春の光」さんです。ちょうど松竹を辞めて独立された頃で、マネージャーさんに「グッズやらせてください！」とDMを送ったらすぐ電話がきて、4日後には会ってトントン拍子に決まりました。 ――今ではいろんな芸人さんのグッズを制作されていますね。 スケロク：メジャーな芸人さんのグッズはすでに有名なデザイナーの方が制作しているので、まだ売れてない芸人のグッズ制作で爆稼ぎしたいと思ってました。すでに有名な方のグッズで稼ぐより快感なので。売れるかどうかはビジュアルと声で判断してます。素人が芸人のネタを判断するのはイタいと思ってるので。 金属バットに関しては、元々飲み友達。グッズを制作したのは6、7年前です。吉本に行った際、担当の方が「金属バット？」て言いながらパソコン打ってました。それでもデータが出てこなかったのか他の方に聞くほどでした。知名度がなかったせいか「いくらでも使ってください」と言っていただけました。 で、ロフト出店が決まって、いざ販売したら1週間で中古マンションが買えるくらい売り上げたんです。1年だと想像の数億倍になりました。吉本さんも驚いてましたよ。 ――すごい！なぜそんなに爆売れしたんでしょうか？ スケロク：まだグッズ制作をしていなかったのと、「金属バットはワシが育てた」「グッズを誰にも買わせたくない！私だけのものにしたい！」という熱狂的なファンがいたからです。オープンしてもお客さん全然来てくれないな、と思っていたら柱の陰に隠れていたようで、他のお客さんがいなくなってから続々と出てこられてびっくりしました（笑）。今でもDMで感謝のメッセージやお中元、お歳暮、タバコの差し入れがあります。 ――「金属バット」のファンの恩返しは、スケロクさんにも届いていたんですね。デザインはどのように作るんですか？ スケロク：芸人さんの意見を尊重するようにしています。芸人さんって、パロディが好きな傾向にあって。金属バットなら、映画「AKIRA」とか、週刊誌のロゴとか。 ――最近では、パンプキンポテトフライ（ホリプロコム所属）さんのグッズ販売で、阪急梅田本店に出店されていましたね。 スケロク：阪急百貨店から、普段百貨店では販売しないものがほしいとオファーをいただきました。売上第2位の百貨店で、完全個人趣味で自分がいいと思った芸人グッズを販売し、百貨店側に芸人グッズの凄さを見せたかったので、パンプキンポテトフライを提案したんです。社員さんは誰も知らなくて「有名な芸人さんでお願いします」と言われたのですが、「彼らはすぐ有名になるので大丈夫です」と押し切りました。百貨店側は1週間5万円程度の売り上げを予想していたのですが、いざ販売をはじめたら予想の何十倍も売れて百貨店のレジの釣銭がなくなるほど。パンプキンポテトフライのご両親にも来ていただけて、居合わせたファンは大喜びで握手してました。 ――元芸人さんならではの、先見の明がありますね。今後の展望は？ スケロク：海外ロックバンドとか俳優さんとか、外国の方とお仕事したいです。 ◇　◇ さらば青春の光はYoutubeの登録者数119万人の大ブレイク。金属バットも5月18日に開催されるTHE SECOND（フジテレビ）の決勝に駒を進めた。他にも錦鯉はM-１優勝、街裏ぴんくさんもR-1優勝と、スケロクさんがグッズを手がけた芸人の多くがその後飛躍している。元芸人が作る、ネクストブレイク芸人グッズは、ウェブでも購入できる。今のうちにチェックしておくのがオススメだ。 イケイケ雑貨屋スケロク オンラインショップ：https://skelokshop.thebase.in/ X：https://x.com/Skelok インスタグラム：https://www.instagram.com/skelok_bossman/ （まいどなニュース特約・ゆきほ）