料理家・平野由希子さんおすすめ!早春の味覚ふきのとうとお酒を心ゆくまで味わうアイデア
季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。 【写真】平野由希子さんの「ふきのとうレシピ」 山菜の中でも特に早く出回るのがふきのとう。冬の寒さを乗り越えて芽吹く生命力を持ち、春がやってきたことを告げてくれる。特有の強いえぐみや苦味があるが、この味わいこそが酒の肴として、魅力を放つ。 「山菜のほろ苦さはポリフェノール。山菜の天ぷらとワインは定番と言っていいほど、よく合う組み合わせです。中でも私のおすすめはオーストリアのグリューナ・ヴェルトリーナー。野菜料理、和食に合う代表的なワインですが、今回のワインは複雑なほろ苦味と旨味を持っています。 一緒に口に含んでみると、ビターなオレンジマーマレードを思わせるような風味が膨らみ、口の中に心地よい余韻が流れます。『春の皿には苦味を盛れ』と言いますが、その苦味をより魅力的にしてくれるのがワインです」(平野さん)
ふきのとうの醤油漬け
さっとゆでて、醤油とみりんに漬けるだけ。甘過ぎず、ふきのとうの風味がそのまま味わえる。焼いた油揚げにたっぷりと乗せるだけで、贅沢なおつまみに。これさえあれば酒が進むが、調味料としても万能。
<材料 作りやすい分量> ふきのとう80g、醤油大さじ4、みりん大さじ2 <作り方> 1 みりんを加熱してアルコールを飛ばす。醤油を加えて、保存容器に入れて粗熱をとる。 2 ふきのとうは黒くなっているところがあれば取り除く。湯を沸騰させて、塩少々を加えて、ふきのとうを入れてや約1分ゆでて冷水にとる。 3 水気を拭き、ざく切りにする。絞ってしっかりと水気を切る。 4 1に3を加えて漬ける。3~4時間以上漬けてからが食べ頃。 白いご飯、お豆腐はもちろん、鰆や鮭、焼いた肉に添えるだけで、春の香りが漂うひと皿になる
【今月のお酒セレクト:ヨハネス・ツィリンガー/ヌーメン グリューナー・ヴェルトリーナー 2018】
オーストリアを代表する品種、グリューナー・ヴェルトリーナーはレモンや白こしょうの風味のするすっきりタイプのワインだが、500Lのアンフォラで20ヶ月熟成させることで、黄色い果実、果皮の苦味を感じる複雑な味わいに。 「強いオレンジワインではなく、繊細でいて、心地よいタンニンを持っています。ハーブやレモンの風味で合わせるのではなく、苦味や複雑味の調和で選びました。口に含むと、さまざまな要素が口の中で溶け合い、広がっていきます。グリューナー・ヴェルトリーナーの新たな魅力に出会えるワインです」(平野さん) BY YUKIKO HIRANO 平野由希子 素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。