【ラグビー・関東大学春季大会】決勝の再戦 帝京大と明大は激闘の末にドロー。決着はシーズン終盤に持ち越し
王者が見せる驚異的な底力。このままゲームをひっくり返すかと思われたが、ひとつの判断で流れが変わる。38分、敵陣5㍍ライン上のスクラムでコラプシングを奪取。相手の陣形が整っていないと見たSH上村樹輝がクイックスタートを仕掛ける。しかし明大は粘った。ゴールエリアまでボールを運ばれるも、何人もの選手が懸命に体を投げ出す。なんとかヘルドアップに逃れ、スコアをイーブンに保った。 試合を通して8対8のセットピースを支配し続けた帝京大。主将のFL青木恵斗は、「焦らず、スクラムでもよかったかもしれない」と悔やんだ。一方、後半の多くの時間帯で押し込まれていた明大にとっては、勝利への意思を強く示した場面だった。ロスタイムは約8分。なんとしても勝利をもぎ取りたい両チームの間で、幾度となく攻守が入れ替わる。最後はお互いにノックオンでノーサイド。春シーズンとは思えない熱のこもった好ゲームに、スタンドからは大きな拍手が鳴り響いた。 健闘したもののスクラムに課題を残した明大の主将、NO8の木戸大士郎は「だれも文句がいえないくらいの完成度をめざしたい」と決意を新たにした様子。神鳥裕之監督も「課題がクリアになったほうが、選手も『ここを修正すれば勝てる』とポジティブに捉えて取り組んでいける」と前を向いた。 対する帝京大の相馬朋和監督は、「明大はケガ人も多く、(今回は)参考にならない」と喜びの表情は一切見せず。シーズン終盤に再び相まみえたとき、どんな結末を迎えるのか。今季の大学ラグビーを占ううえでも、大きな期待を抱かせる一戦となった。 (文:三谷 悠)