ある一杯との出会いがこの世界に…「未だに満足することはない」生涯現役 81歳のミスターバーテンダーは語る
大分市中心部の歓楽街で63年間、現役バーテンダーとして活躍し、全国のバーテンダーが目標にしている81歳の男性がいます。高校卒業後、あることがきっかけでこの世界に入りました。日本バーテンダー協会最高賞の「ミスターバーテンダー」も受賞した男性を取材しました。 【写真を見る】ある一杯との出会いがこの世界に…「未だに満足することはない」生涯現役 81歳のミスターバーテンダーは語る ■珠玉の一杯 「バー カスク(樽)」の主人、佐藤昭次郎さんの背筋を伸ばし凛とした態度は、ただただまぶしくオーラを発しています。時折見せる穏やかで優しい笑顔と手入れの行き届いた指先は到底81歳には見えません。カウンター越しに見えるグラスを持つ手と連動した体の動きにスキは見られません。シェーカーの氷が織りなすリズムと無駄を完全に昇華させた体のさばきから生み出される珠玉の一杯は何とも言えない深い味わいで、神秘的という表現が一番ぴったりです。 1960年高校を卒業後、高校時代に読んだ神話の中で、出てくる酒の神のバッカスなどに関心を持ったことがきっかけで、お酒って何だろうと思い、大分で連れていかれた店で初めて飲んだ、出会ったことのないカクテルの味とバーテンダーの動きに魅了されたことがきっかけでこの世界に入りました。佐藤さんと邂逅したのはカクテルの「アレキサンダー」で、まったりして甘く、全身が雷に打たれた瞬間でした。カクテルってこんなにうまいものなんだと瞬く間にとりこになりました。4年間東京で修業した後、大分に帰り、1975年から大分市中心部の歓楽街、都町に店を構えています。 ■「バーテンダーに到達点はない。未だに満足することはない」 バーカスクの多くのボトルやグラスはピカピカに磨かれ、店内は静謐さが漂い、素晴らしいカクテルの出番を約束してくれます。 (バーカスク・佐藤昭次郎さん)「バーはいつも清潔は空間を提供するのがあたり前です。ボトルを磨くことはそのお酒の名前を覚えることにもつながりますので、欠かしたことはありません。また、大声で話さない、浴びるほど飲まないことが流儀で、カウンター越しでも時には注意することも仕事の一つです。バーテンダーに到達点はなく、満足することはありません」