大阪環状線最大30円値上げ、来年4月から JR西日本、京阪神の運賃体系見直し
JR西日本は15日、同じ距離でも一部で料金の差が出ている京阪神エリアの運賃体系を見直して統一することについて、国土交通省に認可申請したと発表した。JR西が運賃体系を見直すのは民営化後初で、来年4月1日の導入を目指す。大阪環状線内など都市部に近い区間は値上がりし、東海道線や福知山線の一部など地方の区間は値下がりすることになる。 現在3つに分かれている運賃体系を1つに統合し、大阪環状線内では最大で30円値上がりする。大阪―天満では140円が150円に、大阪―天王寺では210円が240円になる。一方、遠方の駅に移動するほど値下がりし、天王寺―姫路は1690円だったのが1640円になる。 JR西は旧国鉄時代、利用者が多い都市部で運賃を安く設定し、郊外の区間は高めに設定する運賃体系を導入した。京阪神エリアではその後、郊外で新駅が開業したり、それらの駅の利用者が大幅に増加したりするケースがあり、当時の設定が「現在の利用実態にそぐわない」状況になったため運賃体系の見直しを決めたという。 JR西は「新運賃の導入から3年は収入は全体として増収にならない」と強調。京都―大阪や大阪-三ノ宮など私鉄との競合が激しく、値上げをすればかえって売り上げが減ると想定される区間では、引き続き安い運賃を据え置く。 ただ、地方路線では沿線人口の減少が進むとみられ、都市部を値上げする今回の見直しは「中長期的にはJR西の収益基盤の下支えにつながるのでは」(大手私鉄関係者)と指摘する声も出ている。(黒川信雄)