ハチャトゥリアン国際コンクール優勝記念公演「関朋岳 ヴァイオリン・リサイタル」関朋岳 インタビュー
第20回ハチャトゥリアン国際コンクールヴァイオリン部門で日本人初の優勝を成し遂げた関朋岳。すでにバルトーク国際コンクール2023で第2位受賞をはじめ、国内外のコンクールで目覚ましい成績を残し注目を集めているヴァイオリニストだ。そんな彼がその成果を披露するハチャトゥリアン国際コンクール優勝記念公演が11月に東京、12月に神戸で開催される。 「ハチャトゥリアン国際コンクールに挑戦したのは、留学中に自分の力を試す場として選びました。その前にバルトーク国際を受けていたこともあって、エキゾティックな作品に対する興味が強くなっていたというのもあります」 関は東京音楽大学アーティストディプロマコース修了後、エコールノルマル音楽院に留学。パリでの生活と学び、コンクールへの挑戦によってさらに技術と音楽性を磨いてきた。 「どちらかといえば感情が先行して演奏することが多かったのですが、もっと幅広い視点で、楽曲の魅力をどう伝えるか、という演奏にシフトできるようになってきたと思います。特にバルトーク国際を受けたのをきっかけに、より言葉と音楽の関係や文化を勉強するようになり、アクセントのつけ方なども研究しました。こういったことから、バルトークやハチャトゥリアンにも自然と入っていけるようになった感覚があります」 今回のリサイタルはハチャトゥリアンの小品にバッハの「シャコンヌ」、バルトークのソナタにラプソディと幅広い内容のプログラムとなっており、現在の関ならではの音楽を存分に聴くことができるものである。 「バルトークとハチャトゥリアンの作品を核に決めていきました。バルトークはどちらもコンクールで弾いた楽曲で、《ラプソディ》はいま自分が一番自信をもって演奏できる楽曲です。バッハについては3年前から師事しているドミトリー・シトコヴェツキー先生への想いも込めています。先生からは、技術はもちろん、音楽に対する姿勢などたくさんのことを学んでおり、またバッハ作品を特に見て頂きました。ラヴェルの《ツィガーヌ》はフランス的なものと異国情緒あふれる作風が結びついた楽曲なので、プログラム全体を繋ぐ役割として入れました」 内容の濃いプログラムを共演するのはピアニストの北端祥人。ソリストとしてはもちろん、室内楽でも高い評価を得ている。 「北端さんとは久しぶりの共演となりますが、公演が決まってすぐに是非にとお願いをしました。音色、世界観が本当に素晴らしく、今回のプログラムでご一緒できるのが本当に楽しみです」 いま注目のヴァイオリニストによる多彩なプログラムをぜひ堪能してほしい。 取材・文:長井進之介 <公演情報> ハチャトゥリアン国際コンクール優勝記念公演「関朋岳 ヴァイオリン・リサイタル」 東京公演:2024年11月28日(木) 浜離宮朝日ホール 兵庫公演:2024年12月1日(日) 神戸朝日ホール