逆風を歩き続けたKREVAのソロ20年 デビュー当時の悔しさもバネ「あの光景は忘れない」
楽曲制作ではAIを活用も…歌詞の仕上げは手書き「最終的には裏紙」
――KREVAさんはヒップホップを大衆化するということに貢献してきたかと思いますが、風当たりが強い時期もあったのではないでしょうか。 「ずーっとありました。それこそソロデビューした時、スピッツがフェスに呼んでくれましたが、1番前のスピッツファンは座ってましたからね。やっぱりその光景は忘れないです。腕組みして見ている人もいっぱいいました。でも、『あいつら分かってねえ』と思うのではなくて、どうやってその腕をほどくかっていうのをずっと工夫してきました。今でもそうですね。そこはちゃんと技術で見せてやるって考え方でしたね」 ――今年は「KREVA CLASS」として、教える立場にも立たれましたが、後進の育成などを考えることはあるのでしょうか。 「コロナ禍の前後は、もっといろんなビートメーカーが出てきたらいいな、そこに貢献できるようなことをしたいなとも思っていましたが、今は自分が生きていくことに必死です。でもチャンスがあれば、曲を作ることやAIがどれほどに音楽に影響をもたらしているのかなど、教えたいなとは思っています。KREVA CLASSも大変だったけどまたやりたいですね」 ――KREVAさんもAIを活用されているんですね。 「めちゃくちゃ使っていますよ。特に音楽は生成AIではなく、いらないものを取ってくれるという面がものすごく進化しているんです。耳には聞こえないけど、ボリュームを割いているような、細かい設定をしないと取り除けなかった音だったりを削ってくれるソフトだったりがあって、かなり便利です。こういう風に調整するといいですよ、と教えてくれるものとか、写真のフィルターに近いかもしれないです。昔の自分の素材がまたフレッシュに聞こえたり、本当に楽しいです」 ――来年初頭には直筆歌詞の展示や販売を行う「原書展」を開催されますね。 「ずっとやりたかったんです。歌詞を裏紙に油性ペンで書いて、最後に書きあげたら清書をするというスタイルでずっとやってきました。ある時期から保管していて、それを見せて販売するのは、1つのアートとして面白いんじゃないかと考えていました。誰に見せるためでもなく書いていたものがゆえの熱みたいなものがこもっていると思います。人に見せるためではないので、字にすらもなっていないようなところもあって、それも含めて面白いかなと思っています」 ――今もずっと歌詞を手書きされているのですか? 「もちろんメモとかデジタルですることもありますが、最終的にまとめるところは裏紙なんですよね。ノートだと連なっちゃっているので、広げられないんです。だから1枚1枚書いてくっていうスタイルがいいんだと思います。裏紙なんで、紙としては第2の使い道なのでSDGsですよね(笑)。それはたまたまですが、気兼ねなく書けるのもいいところです」