世帯年収500万円で子どもが3人います。返済不要の奨学金の対象者が拡大されるようですが、どのような人が対象になりますか?
2024年度より、授業料等減免と給付型奨学金がセットになった「高等教育の修学支援新制度」について、子育て支援の観点から、多子世帯の中間層に支援対象が拡大されました。 あわせて、私立理工農系の中間層にも対象が拡大されました。FPが解説します。
現行の「高等教育の修学支援新制度」
まず、現行の「高等教育の修学支援新制度」についておさらいしましょう。 国等から確認を受けた大学・専門学校などに通う学生への新しい給付奨学金・授業料等減免制度が2020年4月からスタートしました。住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生が対象です。 採用基準には「家計基準」と「学力基準」の両方を満たす必要があります。高校で申し込む予約採用の場合の採用基準は次のとおりです。 ■家計基準 学生等本人と生計維持者(父母)が、次の「収入基準」および「資産基準」のいずれにも該当する必要があります。 ■収入基準 <第1区分(住民税非課税世帯)> 学生等本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること。具体的には、学生等本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が、100円未満であること。 <第2区分> 学生等本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上2万5600円未満であること。 <第3区分> 学生等本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が2万5600円以上5万1300円未満であること。 ※支給額算定基準額=課税標準額×6%-(市町村民税調整控除額+市町村民税調整額)(100円未満切り捨て) 夫(会社員)、妻(無収入)、本人(高校生)、中学生の4人家族の場合、世帯年収約380万円程度までが支援の対象となります。年収はあくまで目安です。実際の選考は上記のように住民税の課税標準額等に基づき判定されます。 ■資産基準 申込日時点の学生等本人と生計維持者(2人)の資産額の合計が 2000万円未満(生計維持者が1人のときは1250万円未満)であること。 ■学力基準 以下の1.もしくは2.のいずれかに該当する必要があります。 1.高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること 2.将来、社会で自立し、および活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること つまり、高校等の成績だけで判断をせず、レポートや面談により本人の学修意欲や進学目的等を重視します。 ■支援内容 給付奨学金の支給額については、第1区分を満額(私大自宅外生約91万円)とすると、第2区分・第3区分の金額は、それぞれ第1区分の額の3分の2、3分の1の金額です。 さらに、給付奨学金の対象者は進学後申請することで、入学金と授業料の減免を受けることができます。 減免額は、第1区分を満額(私大生:入学金26万円・授業料70万円)とすると、第2区分・第3区分の金額は、それぞれ第1区分の額の3分の2、3分の1の金額です。