要介護高齢者700万人…的外れな厚労省「訪問介護の報酬減額で人手不足に追い打ち」“お役所仕事”をやめなさい
なぜか報酬が引き下げられた訪問介護
介護人材の不足は、とりわけ訪問介護の現場で深刻な問題となっている。昨年の訪問介護における有効求人倍率は14.14倍と、施設介護の3.24倍に比べて非常に高く、2024年現在もその水準は高止まりしているとされる。このような人手不足が続く背景には、2024年4月に行われた介護報酬改定が関係している可能性が高い。 介護報酬は3年に1度見直されて改定されるが、今年度の改定では訪問介護の報酬が約2%引き下げられた。この厚生労働省の判断は、書類上のデータに基づいた「お役所仕事」的な対応であり、現場で働く訪問介護事業者にとっては非常に厳しい現実を突きつけている。 報酬が引き下げられた理由として、2023年5月に実施された「令和5年(2023年)度介護事業経営実態調査」の結果が挙げられている。この調査によると、訪問介護の収益率は+7.8%と比較的高く、全サービスの平均収益率である2.4%を大きく上回っていた。最も高かったのは訪問リハビリテーションで9.1%、次いで訪問介護の7.8%、訪問看護が5.9%と訪問系サービスが高い結果となり、反対に通所介護は1.5%、通所リハビリテーションは1.8%と低い数値だった。施設系サービスにおいては、特別養護老人ホームが-1.0%、介護老人保健施設が-1.1%と初めて赤字を記録し、介護医療院も0.4%で前年度比4.8%の低下を見せている。 しかし、この調査方法には根本的な問題がある。訪問介護には、サービス付き高齢者向け住宅(いわゆる「サ高住」)に併設されている訪問介護と、一般の訪問介護が存在するが、これらが一律に扱われている点だ。サ高住の訪問介護では、同じ建物内でサービスを提供できるため、移動時間が短く効率が非常に良い。しかし、一般の訪問介護では、各自宅を自転車や自動車で回る必要があり、移動に10分から30分かかることもある。これにより、サ高住併設の訪問介護事業所と一般の訪問介護事業所では、業務効率や必要なコストに大きな差が生じる。 さらに、介護サービスの提供だけでなく、契約や記録の回収、請求業務なども自宅を訪問して行う必要があるため、施設で一括して処理できる場合に比べて事務的な負担が高い。こうした背景を考慮せず、訪問介護全体を一律に評価してしまったことが、今回の報酬引き下げに繋がっているのである。
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