《ブラジル》お坊さんと和太鼓レッスン=非日系和楽器奏者マルクスさん=「仏教との共通点に感動」
民謡、篠笛、和太鼓など日本の伝統音楽に精通する非日系のプロ和楽器奏者マルクス・ヴィニシウス・ボーバ・セザリノさん(31歳)が1日、サンパウロ市のブラジル別院南米本願寺で同寺院関係者向け和太鼓レッスンを行った。 マルクスさんは子供の頃からギターを習う音楽好きな少年で、日系人の従兄弟がいた関係から日系社会とつながりを持ち、15歳で和太鼓教室に通い始めた。その後、非日系の曹洞宗僧侶で和太鼓指導も行う無縫浄賢さん(Giuliano Di Sevo Fernandes)に師事し、和太鼓を始めとする様々な日本の伝統音楽を学んだ。 ブラジル別院南米本願寺では、寺院の活動活性化のため2023年に和太鼓教室「あみだいこ」を開始。同寺院関係者と交流のあるマルクスさんも講師として協力している。 日本の伝統音楽と仏教の関係についてマルクスさんは「日本の歴史の中でお寺は芸術活動の場でもあり、多くの音楽文化を生みだしてきました。盆踊りの風景に象徴されるように、仏教と日本の伝統音楽は密接に結びついています」と語る。 今回の寺院関係者向けレッスンはマルクスさんの「せっかくお寺で活動しているのだから、あみだいこの活動にはぜひ東本願寺の文化を取り入れた方が良い。そのためには関係者同士、お互いの理解を深めることが必要」との提案を受けて実施された。 レッスンでは和太鼓の種類や文化の成り立ち、演奏方法についての説明が実演を交えながらポルトガル語で行われた。 レッスンに参加した同寺開教使の楮本浦部恵美さん(3世)は「父も僧侶で、盆踊りで太鼓を叩いていました。私もその役目を引き継いできましたが、今回のレッスンで、他者を尊重しながら調和を追求するという和太鼓の精神などを改めて教わり、仏教の教えとの共通点の多さに感動しました」と語った。 同開教使の佐々木環さん(山形出身)は「非常に良い体験でした。僧侶やご門徒さんも和太鼓が演奏できるようになったら、お盆の法要の盆踊りの演奏を皆で行えるようになり、別院がより素敵な場になると思います」と語った。 マルクスさんは今後の展望について「私個人としては仏教への理解をより深めたい。そして別院が地域の文化拠点として他の模範となれるようあみだいこの活動をもっと充実させたいです」と語った。 和太鼓教室「あみだいこ」の参加希望者は同寺楮本開教使(電話11・5061・4902)まで。