＜世界8大タイトル戦　那須川・アシロ＞観戦した武居（右）に吠える那須川（撮影・島崎　忠彦）

　◇WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦　同級1位 那須川天心（帝拳）＜10回戦＞同級2位 ジェルウィン・アシロ（フィリピン（2024年10月14日　東京・有明アリーナ） 【写真】＜世界8大タイトル戦＞観戦する大橋会長（左）と武居 　“神童”那須川天心（26＝帝拳）が3―0判定でプロボクシングデビューから5連勝を飾り、キックボクシングから転向後初のタイトルを獲得した。国内での世界挑戦資格を得られる地域タイトルを手にし、来年の世界挑戦がいよいよ現実的となってきた。 　試合後、ベルトを腰に巻いた那須川はリング上で「俺の大事な顔に傷つけて。顔で売ってるのに大丈夫ですかこれ。初めて傷ついたんですけど」と笑いを誘った。 　判定勝利となり、「KOしたかったですけど、前回KOして相手も対策してきた。ボクシングを10ラウンド通してできることは証明できた。圧倒的に強くなって戻ってきたい」と語った。 　「ベルトをとって、今バンダム級のチャンピオン4人日本人なんですけど、来年中に必ず世界タイトルマッチ、皆さん見たくないですか。来年、那須川天心対世界、ぜひやりたいなと思うんで、もっと強くなってチャンピオンになるので今後とも応援よろしくお願いします」と来年の世界戦挑戦を明言した。 　そして、リングサイドにいた同じキックボクシング出身でWBO王者の武居由樹（28＝大橋）に「勝ちましたよ、武居くん」とアピールした。 　今後について「来年、どこかで。誰というのはないが、全員狙っている」と日本人王者が占めるバンタム級主要4団体への挑戦を宣言してきた那須川。その標的にはもちろん武居もいる。「天心選手とやりたい」と武居本人からラブコールを受けており、結果で応えた形となった。 　“神童”が世界挑戦への第一歩を踏み出した。初回は右のジャブを出す那須川に対し、アシロがカウンターを狙う展開。那須川はこの回の終盤に左ストレートをカウンターで当てた。互いに距離感をつかんでいく中、アシロもカウンターだけでなく、前に出る場面もあるなど、緊迫感あふれる試合となった。 　相手のカウンターにも苦しんだが、那須川は9回に右のジャブから左のボディーでダウンを奪った。最終10回に左のまぶたをカットしたが、最後までパンチを出し続けた。