「少数与党」下で独自の存在感をアピールする公明党 “選択的夫婦別姓”めぐりカギ握る立場に
政治改革では自民と距離 国民民主と連携も
公明党は今、先の衆院選での与党過半数割れを受け「少数与党」の一員となったことで、新たな課題に直面している。 それは野党との連携の必要性と、自民党との距離感という問題だ。 少数与党化により予算の成立や法案の可決には野党の協力が必要になった中で、与党がまず目を付けたのは国民民主党だった。 国民民主党は衆院選で、政治改革に加え「手取りを増やす」をスローガンに「103万円の壁見直し」を掲げ、現役世代の支持を広く集め、議席数を公示前の4倍となる28議席に増やす大躍進を遂げた。 公明党は自民党とともに、少数与党での国会を乗り切るために、政治不信を払拭するための「政治改革」をめぐる各党の協議と、国民民主党が求める「103万円の壁」見直しの協議に向き合うことになった。 政治改革の議論を巡っては政治資金規正法の再改正などが焦点となった。連立与党内において自民党と公明党の政治改革を巡るスタンスの違いがはっきりとした部分は、政党から議員個人に対して支給される政策活動費の在り方や第3者機関の設置場所についてだ。 自民党は政策活動費を「廃止」するとしつつ、外交上の秘密に関わる支出などは例外にできる「公開方法工夫支出」を設け、「公開方法工夫支出」を監査するための第3者機関を「政治資金委員会」として国会に置く法案を単独で提出した。 それに対し公明党は、以前より主張していた政策活動費の全面廃止と、政治資金全般を幅広く監視する第3者機関を独立性の高い「三条委員会」として行政に置く法案を単独で提出する考えを示していた。 ところが、公明党は単独で議員立法の法案を提出するのに必要な議員数が足りないという事実に途中で直面し、政治資金の透明性確保の部分において、考え方の近かった国民民主党と共同で法案を提出することにした。 与党の公明党が、自民党を差し置く形で野党と法案を共同提出することは異例であったが、そもそも公明党は政治改革の議論を巡っては、連立を組む自民党と一貫して距離を置き続けていて、当初から自民党と歩調を合わせる気はなかったようだ。 ある党関係者は「(自民党が)総裁選の時に各候補が訴えていた政治改革の案を見ていても、明らかにうちと違っていた」と語り、衆院選の前から政治改革において自民党と距離を取る立場は明確だったことを明らかにした。 最終的に政治改革の議論は、自民党が立憲民主党をはじめとする野党7党の主張に折れる形で政策活動費の「全面廃止」法案を受け入れた他、第3者機関の設置に関しては、国会に設置して幅広く政治資金を監視するとした公明党と国民民主党の共同提出法案が可決・成立した。 政治改革の議論において公明党の主張が一定程度、実現した形だ。
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