みんな感じている「じつはわかりづらい」生成AIの使い道…ビッグテックが爆走中の「使いやすさ向上レース」と沈黙するアップルの「次の手」
「Copilot」に全力を注ぐマイクロソフト
生成AIを軸とするのはマイクロソフトも同様だ。 マイクロソフトは5月21日から23日まで、米シアトル市内で開発者会議「Build 2024」を開催した。同社のサティア・ナデラCEOは、「Copilotは3種類ある。1つはサービスとしてのCopilot、次に企業のアプリケーションに入っていくCopilot、最後がPC上で動作するCopilot+ PCだ」と説明した。 どれも同じ名前だが、「Copilot」はマイクロソフトの生成AI技術のブランドだ。ウェブから検索や画像生成として使えるCopilotもあるが、企業向けに生成AIを提供するための技術でもある。 特に大きいのが、最後の「Copilot+ PC」。これは、PCでの生成AI活用を促進するものだ。これについては、あえて後ほど解説する。
人の会話に食い込んでくるAI
Googleにしてもマイクロソフトにしても、やっていることには共通項が多い。 軸になっているのは「オンデバイスAIを使うこと」、そして「即応性を重視している」ことだ。 特に「即応性」については、Googleより先に発表をおこなったOpenAIの「GPT-4o」のケースがわかりやすいだろう。 AIというと、「話しかけてからしばらくして反応を返してくる」というイメージが強かったが、GPT-4oはそのようなタイムラグまったく感じさせることがない。それどころか、人の会話に食い込むように対話が進む。 以下の動画は、あくまで「この先公開されるもの」であり、現在公開中のChatGPTなどで使えるGPT-4oと同じものではない。しかし、こうした「対話としての自然さ」が重要なタイミングに来ているのだ、ということは間違いない。
「賢さ」より重要なこと
GoogleはGeminiに、高速応答を重視した「Gemini 1.5 Flash」を用意した。より賢い「Gemini 1.5 Pro」よりコスト的に低い、ということも重要なのだが、彼らの発想としては、「賢さよりも応答速度が重要な時がある」という主張のほうがより重視されているようだ。 また、オンデバイスAIという要素も、即応性と大きく関係してくる。 クラウドを使えば、より複雑な処理や大規模なAIを動かすことができるが、まず命令を送り、それに応答が返ってくるまでの時間が相応にかかるため、即応性という点で不利になる。処理が機器の中で完結するのであれば、それだけ即応性は上がるというわけだ。