北村有起哉が父・北村和夫越えを目指して挑む「おむすび」ヒロインの父役
そして、物語は阪神・淡路大震災を描く。米田家は震災後、糸島へと移住を決断するが、聖人の葛藤を北村はおもんばかる。「エキストラさん含め、本当にリアルに学校内の避難所を再現していただきました。ここでなんとか歯を食いしばりながら頑張ったうちの一人ですから、この風景に溶け込めるようにしなければと思いました。避難所に永吉が来て『糸島にいくぞ』と言った時に聖人はまず反対しましたが、そのシーンのテストで、予想していたものとは違う感情が出てきたんです。本当に『それだけはできない』って思いました。こんなに悲しくて悔しい。聖人ってこういうやつなんだ、と驚きました。永吉は聖人のそういう部分を見抜いているから、『子どもとどっちをとるんだ』と迫るんですね」と演じる中で新たな感情が沸き上がったことを明かす。 そして北村は、永吉との親子関係の悪さも聖人が糸島への移住を反対した理由にあるのではと話す。「ある意味、親父と離れたくて糸島から神戸へ避難してきたようなもんですからね。右も左も分からない神戸でとにかくがむしゃらにやっていたんだと思います。そんな時に、セリフにもありますが、地元の商店街の人たちが温かく迎え入れてくれて多分18歳の聖人を親身になって支えてくれたのでしょう。聖人はそういう恩を決して忘れないタイプ。ものすごく義理堅く、人並以上にそういうものを大切にするので、被災して神戸から離れることになったことを『ひどいことをした、中途半端なことをした』とより強く感じているのだと思います」と分析。
そんな聖人目線で北村が見る、今後の展望とは…。「登場人物のほとんどの人が、やさしくて温かい人たちばかり。それゆえに、人から頼まれたことを断れなかったり巻き込まれたり翻弄(ほんろう)されるヒロインがどんどん成長していき、父親である僕と親子げんかが起きたりと日常によくあるような出来事が丁寧に描かれます。そしてこのドラマは、明るいシーンの後に、大きなうねりとともに急にシリアスなシーンが起きるなど展開が読めません。そのあたりも楽しんでいただけたらと思います」と呼び掛けた。
【番組情報】
連続テレビ小説「おむすび」 NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は1週間の振り返り NHK BS・NHK BSプレミアム4K 月~金曜 午前7:30~7:45ほか
文/TVガイドWeb編集部