北村有起哉が父・北村和夫越えを目指して挑む「おむすび」ヒロインの父役
NHK総合ほかにて、現在放送中の連続テレビ小説「おむすび」。食と人情の街・福岡、神戸、大阪を舞台に、日本の朝に元気と笑顔を届ける“朝ドラ”第111作だ。平成時代のギャル・米田結(橋本環奈)が人々の健康を支える栄養士となり、現代人が抱える問題を、食の知識とコミュニケーション能力で解決しながら、目には見えない大切なものを次々と結んでいく“平成青春グラフィティ”。 出演者からのコメントが続々届いている本作。今回は、ヒロイン・結の父親で、糸島で農業に勤しんでいる父・米田聖人役の北村有起哉が、朝ドラにかける特別な思いを語った。 北村は役者を始めた19歳の下積み時代に無謀な目標を掲げたと言う。それは、NHK連続テレビ小説=朝ドラで“ヒロインの父”を演じること。そう考えたのにはこんな理由があった。「僕がヒロインの相手役というのはちょっと無理があるかなとそこは謙虚に(笑)。冗談はさておき、父の北村和夫が『おしん』のしゅうと役を演じていたというのも理由の一つだったかもしれません。役者として父を超えてやるという若気の至りもありました。役者をやるなら、朝ドラに出演するぐらいの役者にならないと。おこがましいですけれど、目標が高くてもそこが一つの通過点であるぐらいの役者にならないと、と思っていました」と当時を回顧。その念願がかなった今、「僕としてはホッとしたという気持ちが強かったです。うちのおふくろもすごく喜んでくれましたね」と感慨深げに語る。
元理容師で、現在は糸島で農業を営んでいる聖人は、娘のことが心配でしょうがない真面目な性格。奔放な父の永吉(松平健)とは言い争うこともしばしばで…。「最近の僕が演じてきた役柄のなかでも、裏のない真面目な普通の役です。娘に対しては異常なほど心配性ですね。ドラマですからその性格をどこかで共感してもらえるように、憎めない部分も見せないといけないと思っています」と北村。「実際の僕は割とのんびりとのんきな方なので、父親はそこまで心配するもんかなと想像しながら、それを成立させるために現場でいろいろ試しています」と、自身との違いを考えながら演じ方を模索している。今後は聖人が心配性になった理由が描かれるそうで、「やりすぎかもしれないけれど、一本筋が通っていると思っていただけるのではないでしょうか」と役へ思いを寄せる。 家族とのシーンが多い聖人を演じていて、北村の心に大きく響いた場面があると言う。「聖人と健さん演じる永吉は非常に折り合いが悪く、相当仲が悪い親子です。しょっちゅう親子げんかしています。監督とも相談してけんかのシーンはなるべく派手にやったほうがいいと、暴れさせてもらいました。親子げんかというのは楽しくてすごくすてきなことなのだなと感じました。僕の父はもう他界していて、振り返ってみると、生前に親子げんかをしたことがなくて。僕もこうやって親子げんかをすればよかったなと少し感傷的になり、僕にとっては大切なシーンになりました」としみじみ。視聴者にも同じ思いで聖人と永吉のけんかを見ている人がいるのではないだろうか。