市場混乱受けた日銀の対話戦略に注目、政策維持へ-19日から決定会合
(ブルームバーグ): 日本銀行は金融政策の現状維持を今週決定すると見込まれている。7月利上げ時の植田和男総裁のタカ派的な発言が8月に金融市場が混乱する一因となった経緯もあり、金融政策運営を巡る市場との対話戦略に注目が集まっている。
複数の関係者によると、日銀は19、20日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度に維持することを決める公算が大きい。7月利上げと不安定化した金融市場の影響を見極める姿勢だという。ブルームバーグがエコノミスト53人を対象に実施した調査でも、全員が政策据え置きを予想した。一方、年内に追加利上げを行うとの見方は7割近くを占めている。
ブルームバーグ・エコノミクスの木村太郎シニアエコノミストは、「金融政策の正常化を進めるにあたり、実体経済面での前進と不安定な金融市場とのバランスをどのように取っていくのかという点について、日銀の考えを探る重要な機会となる」と指摘。「日銀が10月の利上げを想定しているのであれば、植田総裁は記者会見で何かしらのシグナルを出してくるだろう」とみる。
8月初めの日本株急落など市場の急変動は、日銀の利上げと植田総裁の利上げ継続に前向きな発言に米景気の後退懸念が重なって起きた。内田真一副総裁は同月7日に、市場が不安定な状況で利上げはしない考えを表明。その後、植田総裁ら他の政策委員は、高い緊張感を持って市場を注視するとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢に変わりはないとの見解を示している。
エコノミスト調査では、日銀が市場混乱の大きな要因になったと思うかとの質問に47%が「いいえ」と回答したが、「はい」も39%と一定の割合を占めた。7月の決定会合に向けてと終了以降の日銀のコミュニケーションの評価に関しては、「悪い・非常に悪い」が39%で、「良い・非常に良い」の22%を上回った。
日本の株式市場は依然として、ボラティリティー(変動率)が高止まりしており、先週も不安定な相場展開が続いた。