ナゼ危険?「日本一人身事故件数が多い」熊野町交差点(東京都板橋区)を実地検証してみた
熊野町交差点発生の人身事故は2022年に19件
一般社団法人・日本損害保険協会が公表した「全国交通事故多発交差点マップ」。2022年の交通事故データをもとに作成されたこのマップで、ワースト1となってしまったのは、東京都板橋区にある熊野町交差点。池袋の繁華街にもほど近く、川越街道(国道254号)と山手通り(都道317号環状六号線)の側道が交差する交通量が多めの地点だが、さて事故多発のポイントがどこにあるのか、交通の流れを実地で観察してみることにした。 【画像9点】日本一危険!?「東京都板橋区の熊野町交差点」川越街道側、山手通り側、上り下りの見え方を写真で解説 熊野町交差点での2022年の人身事故発生件数は19件。2位の交差点(同率2位の2カ所、大阪府・東天満交差点と兵庫県・長田交差点)も18件と拮抗しており、年度によってランクの上下はあり得るため、熊野町が断トツに危険というわけではないだろう。だが、危険な交差点の典型というか傾向が、ココから浮かび上がってくるのではないか。 ちなみに人身事故とは、死傷者が出るなど人的被害が発生した交通事故のこと。車両が関わった事故の内、一般的に死亡はもちろん骨折や目立った怪我が発生した場合のものを言うが、そこから想定できるのは、自動車やバイクを主因として、自転車、歩行者などが絡むものが多いだろう(自動車同士、自動車対バイクなどの激しい追突での死傷の場合もあり得るだろうが……)。
事故の多くはクルマ側の右折時に発生
そして、熊野町交差点の場合は、発生した19件すべての事故種別は軽傷事故。事故類型は、右折時が14件、右折直進1件、左折時2件、その他2件。この交差点には、直近に都合よく高架橋がかかっていて、状況を見渡しやすいが、以上のデータを踏まえて交差点を俯瞰してみると……。 ■熊野町交差点の形状 四差路(十字)交差点 川越街道(国道254号)の本線と、山手通りの側道が交差(山手通り本線はアンダーパス) ■交差点侵入直前の各車線の本数 川越街道・川越方面行き=直進2本、右折2本、左折1本 川越街道・池袋方面行き=直進2本、右折1本、左折1本 山手通り側道・内回り(東中野方面行き)=直進1本、右折1本、左折1本 山手通り側道・外回り(仲宿方面行き)=右折1本、左折&直進1本 同交差点は、山手通り本線のアンダーパスが下にあるため、交差点の幅というか面積が広く、交差点通過の先の横断歩道の動きが視認しづらい。そのほか、交差点上に首都高速(5号と中央環状線)の高架がかかるため、昼でも暗がりが多めなことと、高架の支柱が点在して視界の妨げられる場所が多いことなど、運転しづらい状況が重なっている。 なお、ドライバー&ライダー目線で、交差点進入前に一番嫌な印象を抱くのは「川越街道・川越方面行き」。池袋から川越方面へ進み、1km近くは車線がわかりやすくかなり流れのよい速度で走れるものの、交差点直前の内側に首都高・北池袋ランプの出口が流入してくる。合流は信号で管理されているのでさほど問題ないが、その直後、首都高の支柱の隠れた先から右折レーン2車線が急な感じで現れるのが、慣れないドライバーやライダーの戸惑うところだ。 加えて、直進の2レーンと右折2レーンが少し車線幅が狭くなってから枝分かれする。急に現れた方向標識に気づいてからレーンを変更するクルマが多いため、流れがつっかえて急制動なども起こりやすく、接触事故が発生しやすそうだ。 また、信号の表示方法が川越街道、山手通り側道それぞれで異なるのも混乱する要因か。川越街道の信号は、左折・直進の矢印信号(←↑)の後に右折信号(→)だが、山手通り側道は青信号の後に右折信号(→)となっている。