人間関係のリセットは必要か――突然SNSから消える「人間関係リセット症候群」の対処法
――「人間関係リセット症候群」に陥る人は、今後も増えていくのでしょうか。 「増え続ける一方かというと、自身の肌感覚ではそうでもない気がします。リアルな関係が半ば強制的に遮断されたコロナ禍を経て、非リアリティで繋がることの虚しさを改めて感じる人も多く、例えば人情を歌った昭和歌謡を聴く若者が増えたり、リアルな繋がり求めて居酒屋やバーを探索する人が増えたりと、むしろ原点回帰の潮流もあると思います。 もともと人間は共存する生き物なので、脈々と受け継がれる"人との繋がりの大切さ"に本能的に気づき始めている気がします。どんなにデジタルが発達しても、やはり人は一人では生きていけないですからね」 ――リセットして自己嫌悪に陥ってしまう人の場合は、どうしたら良いのでしょうか。 「物事や対人関係を『0か100か』という考え方をしていないか、もしそうした思考の癖があれば『ほどほどで良い』ということを意識してみましょう。人間関係をリセットする傾向がある人は完璧主義の人も多いので、『治すべき』と考えれば考えるほどゼロにしたくなってしまいます。 具体的には、『なんとかなるさ』『明日は明日の風が吹く』など、ちょっと楽になれる言葉を部屋の壁に貼ったり、スマホのホーム画面にしたりしても良いですね。 また、一人では思考の整理や自分への気付きが進まないこともあるため、医師やカウンセラーなど心の専門家の助けを借りるのもいいことだと思います。 専門家は多くの症例を見て学んでいますので、プロに頼ってほしいです」
――身近な人から突然シャットアウトされると、動揺したり、「私が何かしちゃったかな」と落ち込んだりしてしまいます。リセットされた側はどうすれば良いのでしょうか。 「まず、なぜ相手がそういう状態になってしまったのかを考えてみることが大切です。 背景に個人的なストレスや大きな喪失体験があることも多いので、『少し前にご家族が亡くなっているもんね』『前の職場もすぐ辞めたって言っていたから、挫折が重なっちゃったのかな』など、自分と相手の関係性だけでなく、その人の背景全体を考えることによって、リセットされた側が自分だけを責める気持ちが和らぎます。 また、少し突き放した考え方かもしれませんが、『私の問題ではなく、その人自身の問題』と区切りをつけることも大切。最終的にはその人自身が選択したことであり、その人の人生なので、ある程度ドライに受け止めることが大切だと思います」