人間関係のリセットは必要か――突然SNSから消える「人間関係リセット症候群」の対処法
また、「親しい人が音信不通になったことがある」と答えた人の中で、「探す努力をした」と答えた人は、全体の21.5%。「一度音信不通になった人が、また現れたことはありますか?」との質問に「ある」と答えた人は13.4%で、その時の感情について聞くと、「安心した」「なんとも思わない」「忙しさが緩和したんだなと思った」などの意見が寄せられました。 最後に「人間関係をリセットするのは必要なことだと思いますか?」と質問すると、「思う」と答えた人は67.8%で過半数以上。その理由について、「その時置かれた状況によっては、リセットも必要かもしれない」「リセットすることで生きやすくなるなら、するべき時もあると思う」「自分が苦しかったら人間限関係を見直してもいいと思う」など、さまざまな個人の見解が。 そもそもリセットすることはいいことなのか、悪いことなのか…また、実際に自分の身の回りで起きた際の対処法は? アンケート結果を踏まえ、心理カウンセラーの小日向るり子さんに話を伺いました。
SNSから突然消える「人間関係リセット」=悪?
――「人間関係リセット症候群」の定義とは? 「疾患名ではないので医学的な定義はありませんが、ある日突然全ての人間関係をシャットアウトしてしまう、あるいはそれに近いことをしてしまう人のことを俗にさして使う用語です。 例えば、SNSでしつこくしてくる人をブロックした等、理由があって特定の人をシャットアウトするのは、人間関係リセット症候群にはあてはまりません。ある日全てが嫌になって、アカウントごと削除してしまうような状態が人間関係リセット症候群です」 ――SNSで個人のアカウントをブロックすることとの心理的な違いは何でしょうか。 「特定の相手をブロックする理由は、『相手を消して自分が心地よく存在し続けたい』からですよね。つまり、自分が生きるためにブロックするので、そこには自分を守る自己防衛や自己愛の心理が働いていると考えられます。 一方、人間関係を全てリセットするのは、『自分自身の存在を消したい』という心理です。 後者の場合、消滅願望や自殺願望が入っている場合もあるため、リセットの頻度や程度によっては心療内科などの専門機関でサポートを受けることをおすすめします」 ――なるほど。心理的には真逆とも言えるのですね。「人間関係リセット症候群」の一番の原因はどこにあるのでしょうか。 「一番とは言えないものの、社会との繋がりの多さと頻度が大きくなった社会が関係していると思います。現代社会は、スマホで常に誰かと繋がっている状態ですよね。これは楽しくもあるけれど、緊張している状態でもあるのです。緊張が続くことは、心を風船に例えるなら常に膨らんでいる状態です。そのため、細い針穴ひとつで破裂する膨張した風船のように、些細な出来事がトリガーとなり『全てを切る』という極端な行動になりやすいのではないでしょうか。