「いつ起きてもおかしくない状況」……「南海トラフ地震」のXデーが急激に近づいている
「ベッドで横になっていたら突然、激しい横揺れに襲われました。15秒ほどの揺れが3回ほど続いた。80年以上生きてきて、これほど大きな地震は初めてです」 【図解】異常事態…!’24年に太平洋付近で起きた「大規模地震」衝撃の現場写真 愛媛県八幡浜(やわたはま)市内で、和菓子店を営む竹村良枝さん(83)が振り返る。 4月17日夜11時過ぎ、最大震度6弱でM(マグニチュード)6.6の地震が、愛媛県や高知県西部を襲った。四国で震度6以上を観測するのは、’96年10月に現在の震度階級になり初めて。30年以内の発生確率が70~80%という南海トラフ地震(M8~9)の想定震源内で発生したため、地域住民に不安が広がっている――。 異常事態といえるだろう。今年に入り台湾で続発する地震を含め、太平洋近辺で起きた震度4以上の揺れは10回を超える。だが四国の地震を受け、政府の地震調査委員会は「(南海トラフ地震の可能性が)高まったと考えられる特段の変化は観測されない」と発表。気象庁も「地震活動が活発化しているとはいえない」と分析した。自然災害が専門の、関西大学特別任命教授の河田惠昭氏が批判する。 「今回の地震はユーラシアプレートに沈み込んでいるフィリピン海プレートの中で、『正断層』と呼ばれる断層が引っ張られ割れて起きたという気象庁の分析はその通りだと思います。しかし、だからといって南海トラフ地震と関係ないとするのは言い過ぎです。無視していいといっているのと同じ。正確なことがわからないのに、発表を聞いた人は『良かった』と安心し何の対策もしないでしょう。南海トラフ地震は、いつ起きてもおかしくないのが今の状況なんです」 4月17日にインドネシア中部ルアング山で起きた大規模噴火も、無関係ではないようだ。河田氏が続ける。 「オーストラリアプレートが北側のフィリピン海プレートを押しています。フィリピン海プレートの南端にあるインドネシアで、火山の噴火や地震が起きるのは当然です。フィリピン海プレートは日本の南まで来ている。台湾や千葉沖などで続発する地震に影響しているはずです」 南海トラフ地震は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海溝で起きるといわれる。「Xデー」は急激に近づいているようだ。元東京大学地震研究所准教授で、深田地質研究所客員研究員の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏が警鐘を鳴らす。 「今年に入りとくに太平洋近辺で地震が頻発しているのは、ユーラシアプレートとその下に入り込んだフィリピン海プレートの間で相当ストレスが溜まっているからでしょう。南海トラフ地震は約100年周期で起きています。 しかも前回の昭和南海地震(1946年)や安政東海地震(1854年)など、大地震の前には近畿地方や四国でM6クラスの地震が続発している。今回、四国で起きた地震が直接の導火線になるとは考えづらいですが、南海トラフ地震の危機はかなり近づいていると思われます」 最大32万人の犠牲者を出すという巨大地震発生が現実のものとなりつつある。 『FRIDAY』2024年5月10・17日号より
FRIDAYデジタル