中南米のネオバンク、イーサリアムからアバランチにブロックチェーンを変更──現実資産関連の需要増を受け
中南米の人々にとって、米国債への投資はより簡単になっている。 コロンビアのネオバンクであるLittioは、ユーザーが自らの米ドル預金で利息を得られるイールドポッツ(Yield Pots)と呼ぶプロダクトのために、ブロックチェーンネットワークをイーサリアムからアバランチに切り替えている。 なぜこのような変更が行われたのか。同プロダクトの需要の高まりによって運用の規模拡大が進む中、アバランチの安価で安定した取引手数料が、その理由として挙げられた。 アバランチ財団は昨年、アバランチ上での現実資産(RWA)関連の開発を奨励するために5000万ドル(約75億円)規模のプログラムを立ち上げており、このニュースは同プラットフォームにとって素晴らしい勝利となっている。
米国債に対する需要
Littioは、ロンドンを拠点とするオープントレード(OpenTrade)という、ステーブルコインと米国債券などの現実資産を用いて利回り付きのプロダクトを開発する企業との提携を通じて、イールドポッツを提供している。 ステーブルコインは、法定通貨(通常は米ドル)と連動するように設計された暗号資産だ。また現実資産(RWA)とは、不動産などのように暗号資産エコシステムの外部に存在するが、デジタルトークンの形でチェーン上で表象される資産を指す用語だ。 「現在、Littioは弊社のサービスを利用する中南米で唯一のネオバンクだが、今年はさらに多くの顧客をオンラインで迎えることになり、USDコイン(USDC)をベースとした様々な種類のフィンテック サービスを提供する予定だ」と、オープントレードの最高商務責任者であるジェフ・ハンドラー(Jeff Handler)氏は CoinDeskに述べた。 「関心のあるクライアントは主にネオバンク、中央集権型取引所、決済会社において、すでに中南米全域でUSDCを使用して、米ドルを使った銀行口座、決済、サービスの需要のギャップを埋めている」と同氏は付け加えた。 Littioのサービスはコロンビア、アルゼンチン、エルサルバドル、ブラジル、メキシコなど、さまざまなラテンアメリカ諸国で利用可能となっている。 イールドポッツは2月に開始されたばかりだが、すでに8000万ドル(約119億円)を超える取引高を獲得しており、過去4カ月でユーザーに25万ドル(約3700万円)の利益をもたらした。Littioは毎月1100万~1300 万ドル(約16~19億円)をオープントレードに保有し、再投資しているとハンドラー氏は述べた。 比較の一例として、米国の金融大手フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)のトークン化MMFは、2021年のスタート以来、4億3500万ドル(約648億円)の資産を蓄えている。 Littioのウェブサイトによると、利回りは2~5%の範囲となっている。 同プロダクトが需要を喚起するのは当然だ。コロンビア・ペソは過去10年間で米ドルに対して54%超も下落し、1990年以降だと88%下落している。また、深刻なインフレに直面している中南米の通貨はコロンビア・ペソだけではない。そうした国では、米ドルは魅力的だ。 Littioの顧客は、居住地によっては通貨の制限に直面したり、自国の伝統的な金融システムを通じて銀行口座を開設する手段がなかったりする可能性があり、これもLittioに登録するもう1つの動機となっている。 「Littioとオープントレードは、アバランチの技術によって、従来では入手できなかったり、維持できなかったりする魅力的な商品やサービスに、銀行口座を持たない人々がアクセスできるようになることを実証している」と、アバランチブロックチェーンを開発するアバ・ラボ(Ava Labs)の機関投資家および資本市場責任者、モーガン・クルペツキー(Morgan Krupetsky)氏は述べた。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Unsplash|原文:LatAm Bank Littio Ditches Ethereum for Avalanche as Demand for RWA Vaults Grows
CoinDesk Japan 編集部