米原油の対中輸出、10月は持ち直すも先行き暗く
Arathy Somasekhar [ヒューストン 11日 ロイター] - 米データ分析会社ケプラーは11日、米国産原油の10月の中国に対する輸出量は日量13万バレルになった。8月は日量2万4000バレルと、新型コロナウイルス感染拡大が響いて需要が落ち込んでいた2020年2月以来の低水準だったが、今年9月は日量約13万4000バレルに続いて持ち直した。 ただ、中国の燃料需要や製油所の利益は低迷しており、ケプラーは米国産原油の輸出の先行きは暗いと分析した。 今年10月の輸出量も、2023年の平均日量25万9000バレルの約半分にとどまっている。中国の需要低迷が足を引っ張り、米原油の今年10月のアジア向け輸出は日量95万5000バレルと約3年ぶりの低水準となった。 中国税関総署が7日発表したデータによると、10月の原油輸入総量は前年同月比9%減の日量約1053万バレルとなり、6カ月連続で前年同月を下回った。22カ月ぶりの低水準となった7月の日量997万バレルからはやや回復した。 中国はロシア、イラン、ベネズエラといった米国の制裁対象国から割安な価格で購入する原油が増えている。10月のこれら3カ国からの輸入量は日量約300万バレルと、10月の輸入総量の約30%を占めた。 5月にカナダのトランス・マウンテン・パイプライン(TMX)の拡張プロジェクトが完了したことを受け、西部アルバータ州からカナダ太平洋岸への原油輸送量がほぼ3倍になった。これに伴って中国に対するカナダ産原油の輸出量が増加した一方、米国からの原油輸出量は減っている。10月にカナダ西部バンクーバーから中国へ輸出された原油は過去最高の日量21万7000バレルとなった。 アナリストらは、中国政府の経済成長を促す取り組みが定着し、燃料需要を押し上げるには時間がかかるとして米原油の対中輸出は今後も低迷が続く公算が大きいとの見方を示している。