昭和のプール、壊れても直せない… 学校の水泳の授業「自校→校外」が広がる バスで20分の移動が必要でも
安曇野市は10小学校と7中学校のいずれも自校プールで授業をしている。市内には民間プールが1カ所あるものの市街地から片道20~30分ほど離れており、市教委の担当者は「距離があるため民間施設の利用は検討していない」と説明。プールの老朽化は進むが「壊れたら修理して使っていくしかない」と話す。
外部施設への活用に積極的な長野市でも、受け入れ先の確保は課題だ。本年度は15小学校と1中学校が外部施設を利用しているが、隣接する上水内郡小川村の施設を活用する学校もある。
市内の小学校は53校で児童計約1万6700人、中学校は23校で生徒計約8600人が在籍している。市教委は「全て外部施設に移行するのは難しい」とし、近隣学校との共同利用などの工夫も必要になるとの認識だ。
飯田市は20年度に民間施設の活用を始め、本年度は11小学校と4中学校が実施する。各校が最寄りの3施設に分散し、さらに6、7月のピークに重ならないよう時期をずらして対応している。
屋内プールなら季節を問わず、早い学校で5月上旬に授業を始め、12月に実施するクラスもあるという。市教委の担当者は、今後も自校プールの老朽化が進むとみて「時期をずらして民間施設を活用するなど状況に合わせた対応が必要になる」と見通す。
子どもたちが楽しめる環境づくりを【長野県学校体育研究会・清水直人さん(55)の話】
これまでは学校にプールがあるのが当たり前で、授業や夏休みの開放の際に子どもたちは水泳に親しんできました。ただ、自校プールの維持管理を担うのは教員です。安心・安全を維持するため、清掃や水質検査などが欠かせず、負担は小さくありません。
民間施設の活用は教員の負担軽減だけでなく、天候に左右されずに授業ができる利点があります。インストラクターの指導で子どもの泳力向上も期待できます。好条件がそろっていますが、受け入れ先との調整や移動時間の確保など課題もあります。全て移行するのは難しいと思います。
学校行事との兼ね合いもありますが、水泳授業の時期をずらすことができれば、民間施設を活用する学校も増えるのではないでしょうか。水の中で安全を確保する方法を学ぶという授業の目的は変わりません。子どもたちが水泳を楽しみ、上達を実感できる環境を整えていく必要があると思います。